社会的インパクト評価とは

「社会的インパクト評価」の定義

社会的インパクト評価とは、「社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加えること」です。

この定義は、内閣府による「社会的インパクト評価の推進に向けて―社会的課題解決に向けた社会的インパクト評価の基本的概念と今後の対応策について―」(2016年3月)の定義を踏襲しています。

「社会的インパクト評価」の実践「社会的インパクト評価」の実践

社会課題解決や社会価値創出を目的とする単一または複数の事業や取り組みが、社会全体や事業対象者のニーズに合致するよう設計・実施され、目的どおり社会的インパクトを生み出してゆくことが大切です。事業の設計のロジックや実施プロセスの妥当性、成果などに関する例えば次のような問いに答えてゆくことが必要です。これらが、社会的インパクト評価の実践に一歩になります。

  • ・事業目的は社会のニーズに対応しているか
  • ・事業目的達成に向けて計画されている事業内容は適切か
  • ・事業は計画どおりに実施されているか
  • ・事業実施により期待どおりの成果が生まれているか
  • ・投入した資源は効果的に活用されているか

社会的インパクト評価は、ロジックモデルに代表される因果関係の整理や戦略の図示化と指標の設定、データ収集と分析などを通じて、これらの問いに関する情報を提供し、事業目的の達成に向けた「インパクト・マネジメント・サイクル」の実践を支援することを意図しています。

「社会的インパクト・マネジメント原則」とは「社会的インパクト・マネジメント原則」とは

社会的インパクト評価は、プログラム評価の考え方や手法を活用して、インパクト・マネジメント・サイクルを実践する上で必要な情報を提供します。この際、留意すべき点を、SIMIでは「社会的インパクト・マネジメント原則」(下図)にまとめました。「社会的インパクト・マネジメント原則」のうちのはじめの「6原則」は、社会的インパクト・マネジメントにおいては必須であり、あとの「2原則」は、社会的インパクト・マネジメントの目的に応じて適用すべき原則としています。これらをすべて満たさなければ「社会的インパクト・マネジメント」を実施していることにならないというわけではありませんが、これらの原則を満たすことで、事業や取り組みに関わるステークホルダーにより適切な情報を提供することができ、社会的インパクト・マネジメントのより効果的な実践につながります。

原則

「社会的インパクト評価」が求められる理由

国際的な潮流として、事業や活動による社会的な価値の「見える化」を図り、これを「検証」し、自らの組織・活動に関する学びや改善、資金提供者などのステークホルダーへの説明責任につなげていく仕組みが公益活動の基盤として定着することが求められています。それには、資金提供者の次のような意識の変化があります。

資金の出し手となる助成財団や投資家が、社会的課題の解決に直結するような成果を重視

非営利団体等との協働や社会的インパクト投資の動きが加速しており、その前提として事業や活動の社会的な価値を可視化する必要性が認識され、社会的インパクト評価が急速に普及

日本においても、以下のようなハードルを乗り越え、社会的課題の解決に取り組む事業や活動の価値の「見える化」により、その事業や活動が成長できる環境を整える必要があります。

急激な少子高齢化等に伴い、社会的課題の多様化・複雑化、また、社会保障費の増大等による財政的な制約がある中、官民含め多様なアクターが価値の「見える化」に関しての共通言語をもてていない

社会的課題の解決に民間の資源(人材や資金等)を呼び込み、営利・非営利を問わずあらゆる主体が公益活動の新たな担い手として評価され、成長できる評価の枠組みが合意されていない

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