SIMIからのお知らせ

2025年07月11日

インパクトレポートなどの各社の開示情報の事例(2025年7月更新)

SIMIのウェブサイト「事例集・ライブラリー・書籍」データベースに、新たにインパクトレポートを追加しました。近年、皆様より問い合わせの多い、インパクトレポートなどの各社の開示情報の事例を、「社会的インパクト」の観点でSIMIが収集したものです。今後も多くの事例を収集し紹介していく予定です。
https://simi.or.jp/case_studys


社会としてより知見を収集・共有していくためにも皆さまからも、「社会的インパクト」の観点で統合報告書などの開示情報をいただけますと幸いです。

今回掲載したインパクトレポートとSIMIからの一言コメント(順不同):

「IMPACT PROGRESS REPORT」(インパクトプログレスレポート) ECOMMIT

【SIMIの一言コメント】「地球1個分の資源で持続可能な社会へ」を掲げ、リユース・リサイクル事業を通じたCO₂排出削減と資源循環の促進に取り組む。レポートでは、ゴミが増える問題構造をデータを用いてわかりやすく示した上で、それらの問題に対応する各事業とKPIおよびインパクト指標を示し、事業ごとのロジックモデルやビジネスモデルを示している。「ステークホルダーの関与」の視点も強く意識されており、環境領域での社会的インパクト・マネジメントの事例として参考になる点が多い。

ファーメンステーション インパクトレポート2024

【SIMIの一言コメント】ファーメンステーションは「発酵技術で資源循環型社会を作る」をパーパスとし、未利用資源の発酵・再生プロセスを通じた環境負荷低減と地域共創、社会的価値創造を推進。2024年レポートでは、インパクトモデル構築における学びや、素材提供企業(メーカー)等との連携を通じた成果や学びを丁寧に開示している。

東京ウェルネスインパクトファンド2024インパクトレポート

【SIMIの一言コメント】東京ウェルネスインパクトファンドの2年目の発行となるインパクトレポート。なぜインパクト投資というアプローチを取るのかという前提の説明から、インパクトの目標と実績、活動のあゆみ、ダイアローグ、課題デザインマップ、投資先の事業およびインパクト説明など、コンテンツとして読み応えがある。

かんぽ生命責任投資レポート2024

【SIMIの一言コメント】かんぽ生命の責任投資レポートは、社会的リターンと財務的リターンの両立を意識しつつ、投資先のテーマ分類と投資額の開示を丁寧に行っており、透明性が高い。社会的インパクトについては、主に「インパクト“K”プロジェクト」の項目に記載されており、各pointに示されている内容は、投資家および事業者にとって参考になる内容である。

コモンズ・インパクトファンドアニュアルレポート2023-2024

【SIMIの一言コメント】コモンズ・インパクトファンドは、インベストメントチェーン全体の高度化を目指し、3社が協業する形で長期的な社会価値の創出を重視し、企業との対話や成果の評価を通じて投資先の社会的インパクトを可視化している。ファンド全体のToCや投資先の事業分野の問題構造分析やロジックモデル、投資先企業との対話の仕方などが参考になると思われる。

インパクトレポート2024 ~SMBCグループの社会的価値創造~

【SIMIの一言コメント】SMBCグループは、企業価値を測る”物差し”の変化を先取りすることを意識し、脱炭素、ダイバーシティ、地域共創などの重点テーマを軸に、ファイナンスを通じた社会的価値創造を推進。2024年版レポートでは、社会的価値創出の意図の明確化をおこない、様々な取り組みにおけるアウトカム指標による成果の把握が意識されている。従業員の取り組み支援として、従業員のリテラシー向上策などが紹介されているところもユニークである。

メルカリFY2024.6 Impact Report

【SIMIの一言コメント】メルカリは「サーキュラーエコノミーの実現」を掲げ、フリマアプリを通じたリユース促進の環境価値や、誰もが参加できる経済圏の創出を報告。2024年レポートでは、事業の中核にあるプラットフォームの特性を活かし、個人と社会のエンパワーメント、人的資本など、社会・環境インパクトを多角的に可視化している。また事業を通じて生まれたネガティヴインパクトも報告している。

日テレ共創ラボ IMPACT REPORT2024

【SIMIの一言コメント】日本テレビグループが取り組む社会的インパクト創出へ向けた共創の内容がまとまっている。自社のコア事業を活かした社会的価値創出の意図が明確であり、本業に通じる社会課題領域に投資およびIMM支援を行っている。「事業設計(ロジックモデル)の整理」や「ステークホルダーの関与」の観点が丁寧に表現されている。レポート後半には、一連のインパクト投資やIMMプロセスにおける学びが紹介されている。

りそなアセットマネジメント日本株式インパクト投資ファンド インパクトレポート2024年度版

【SIMIの一言コメント】りそなアセットマネジメントは、「社会課題の解決と持続可能な成長の両立」を目指し、投資先企業のアウトカムを環境・社会の両面から評価。2024年レポートでは、10の課題領域と投資先企業について、課題のデータや構造、投資先企業の事業の定量・定性的な環境・社会的成果、エンゲージメントの結果などを具体的に開示している。

坂ノ途中の報告書2023-2024

【SIMIの一言コメント】坂ノ途中は「100年先もつづく、農業を。」というビジョンのもと、新規就農者の支援や環境負荷の少ない農業の普及に取り組んでいる。2023-2024年の報告書では、現場の声やインパクト測定の結果を丁寧に描き出している。農家・顧客といったステークホルダーとの双方向的な関与が丁寧に記述されており、環境負荷の小さい農業を広げるためにできることを一緒に考えていきたいという願いが伝わってくる。

カディラキャピタルマネジメント プログレスレポート2024

【SIMIの一言コメント】「インベストメントチェーンを先へとつなぐ」をミッションに掲げ、日本の上場株に投資するファンドの運用を行っている。インパクト統合価値(Impact Integrated Value)というインパクトを企業価値に組み込む方法論を提唱し、そのロジックを解説している。エンゲージメント活動の内容や成果を示しており、本レポートの発行により、幅広いステークホルダーとのさらなる対話促進につなげていきたいという思いを感じさせる。

KII Impact Report 2024

【SIMIの一言コメント】KIIは、ディープテック領域に特化した大学発スタートアップ投資を通じて、医療・環境・社会基盤等の革新的課題解決を支援。初のインパクトレポートである本書では、各投資先の社会的インパクトをグローバルスタンダードに準拠したフレームワークで整理し、変化の兆しと長期的ビジョンを描いている。スタートアップ支援という特性に即した「意図の明確化」と、「成果の把握・評価」が適切に構造化されており、ディープテック投資の文脈における実践例として高い完成度を示す。

KIBOW IMPACT REPORT 2024

【SIMIの一言コメント】KIBOWは、「可能性を信じる投資」を掲げ、多様な事業体を通じたインパクト創出の歩みを紹介。2024年レポートでは、ファンドのToCや出資先・支援先の実例と共に、活動の進化と広がりを示している。支援先の事業の内容・成果を、ビジュアル、ロジックモデル、定量成果(インパクトKPI)、ストーリーで簡潔にわかりやすく伝える工夫を行っており、支援先ごとに記載フォーマットを変えているところも支援先の固有性への配慮が感じられる。

Zebras and Company IMPACT JOURNEY REPORT

【SIMIの一言コメント】ゼブラムーブメントの仕掛け人およびインパクト投資の実践者として誠実に3年間の振り返りをしている。レポートは、事業の目的・活動・成果・学びを一貫したストーリーで丁寧に記述しており、良質なコンテンツが多く参考になると思われる。

ガクシー Impact Report2024

【SIMIの一言コメント】ガクシーは奨学金まわりの事業を通して「若者が夢を諦めなくていい社会の実現」を掲げ、学習支援プラットフォームを通じて、教育格差の是正と個別最適な学びの実現を目指す。2024年のインパクトレポートでは、ユーザーの声や成果指標を交えたインパクト創出の過程を丁寧に可視化している。学習継続率や満足度などの指標やストーリーによる「成果の把握・評価」も意識されており、今後は中長期的アウトカムの追跡による「学びと改善」の深化が期待される。

relay インパクトレポート2025

【SIMIの一言コメント】「事業承継でまちの個性が残る未来へ」を掲げて、地域事業のバトンタッチを支援するプラットフォームとして、後継者不在問題に取り組む。最新のレポートでは、承継事例や地域パートナーとの連携を通じた社会的インパクトを、定量・定性の両面から明示している。承継後の変化や声の可視化により「成果の把握・評価」も意識された構成となっている。今後は中長期的なアウトカム指標の継続的追跡により、「学びと改善」の深化が期待される。「事業承継のあるまち、事業承継のないまち」の社会的インパクトやスパイラルを無限大記号になぞらえ、イラストで「relay インフィニティモデル」として可視化していることも独自性が高い。

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