コラム
ステークホルダー分析の重要性
ロジックモデルなどの作成は、事業を通じて「将来的に誰にどういった変化・価値をもたらすことを目指しているのか」を明確化することから始まります。その意味で、事業の受益者が検討の出発点です。一方で、受益者に限らず、多様なステークホルダー(利害関係者)を洗い出し分析することは、事業がもたらす変化・効果(アウトカム)を網羅的に把握する上でも、そして事業を円滑に推進する上でも重要です。
多くの場合、事業がもたらす変化・効果の範囲は、事業の直接の対象者に限りません。例えば教育分野における学習支援では、事業の結果生まれるポジティブな変化は、事業の直接の対象者である子どもだけでなく、親や事業の担い手(教える側)にも発生するかもしれません。また、事業を実施した結果、予期せぬネガティブな変化を起こしてしまうこともあります。ステークホルダーを網羅的に洗い出すことは、事業がネガティブな変化をもたらす可能性を検討する上でも役に立ちます。
さらに、ステークホルダーは受益者やネガティブな影響を受ける人や組織だけを指すわけではありません。例えば、国際開発分野ではステークホルダーを以下の8つに分類し、事業の計画時にこれらのステークホルダーの洗い出し、抱えている問題点やニーズ、強みといった点についての現状分析を行います。
受益者 | 便益を受ける関係者 |
マイナスの影響を受ける者 | マイナスの影響を受ける関係者 |
実施者 | プロジェクトを実施する関係者 |
協力者 | プロジェクトの実施を支援する関係者 |
潜在的反対者 | 反対、妨害が予想される関係者 |
地域代表者 | 地域を代表する関係者 |
決定者 | 物事を決定する関係者 |
費用負担者 | 費用を負担する関係者 |
こうした分析を行うことで、受益者のニーズを把握することはもちろんのこと、事業を行う上で活用可能な社会資源を把握したり、逆に阻害要因となりうるステークホルダーを把握し事前に対策を検討したりすることができ、事業の円滑な推進につながるわけです。