コラム ロジックモデル

大学スポーツ定期戦

本イベントは大学間の定期戦において学生が積極的に運営に携わっている事例です。約10年前からイベント会場にキャンパスを持つ大学内のスポーツ関連の研究室と共にマーケティング戦略を考えたり、集客イベントを実施するなど連携してきました。当初は試合をする選手、チーム関係者とOBOGなどだけで成り立っていた試合が、いまではDJが試合を盛り上げ、学生の作成したフォトスポット、会場外での子供向けのイベントなど、エンターテイメントとしての要素が豊富にみられます。新しいスポーツやイベント関連のマーケティングが行われる一方で、地域商店街の中小企業、商店がスポンサーとしてイベント実施を支え、イベント会場を普段の習い事として使っている地元の子どもたちもこのイベントを楽しみにしており地域に受け入れられているイベントと言えます。

 一般的なスポーツイベントではみられない、大学生の学びの場となっていること、大学スポーツとしての伝統と歴史が受け継がれていること、地域の人にとって身近なイベントであることなどが特徴です。

 本イベントのロジックモデルは以下のように表現することができます。

図表8:大学スポーツ定期戦のロジックモデル

受益者の設定

本イベントの受益者は選手、観客、イベント運営組織(大学)、イベント運営を支えるボランティア(大学生)、地域住民、スポンサー企業としました。

直接アウトカム

直接アウトカムであるスポーツへの関心が高まる(1)、は全ての受益者に生まれる成果だと考えられます。

中間アウトカム

本イベントにおいては、つながりが生まれる、増える(2.1)も全ての受益者に生まれる成果と考えられます。大学生、地域住民、スポンサー企業には、運営に関わることによる新たなつながり、接点が生まれ、これが地域のソーシャル・キャピタルが高まる(6.4)につながると想定されます。また観客やチームのOBOGもこうしたイベントに足を運ぶことでつながりが生まれる、強まることが想定され、選手においては、チームや大学への帰属意識といった面でのつながりが考えられます。それぞれの受益者におけるつながりが継続的なつながりに発展し、スポーツをする人の増加やスポーツの枠を越えたつながりに発展するといったアウトカムが考えられます。

また、本イベントにおいては大学生は運営や広報に関わり、地域や企業との協働の中で学びを実践し、深化させるという機会に恵まれ、その学びをその後のキャリアや学業に活かすというアウトカム(3.4、3.5)が重要であると考えられます。

長期アウトカム

一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)の設立や大学スポーツアドミニストレーターの設置が促進されていますが、大学の枠を超えた、地域の活性化を意識したアウトカムの設定により、大学スポーツの振興やスポーツ参画人口の増加に留まらず、大学スポーツを起点にした最終アウトカムの実現が期待されます。

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