コラム

組織能力の構築と学習する組織

 人格をもった有機的な組織の考え方としては、「学習する組織」(センゲ)がよく知られています。学習する組織の基本は、外的環境の変化に応じて、学習・進化する組織のあり方で、その前提となるのはシステム思考です(「はじめに」参照)。センゲは、システム思考に加え、自己実現(マスタリー)、メンタルモデル、共有ビジョン、チーム学習の5つの要素が学習する組織には必要と説いています。

  • 自己実現(マスタリー):個人の学習なくして組織の学習なし(p.192)。高度な自己マスタリーに達した人は、人生において自分が本当に求めている結果を生み出す能力を絶えず伸ばしていく(p.194)。
  • メンタルモデル:世の中とはこういうものだという心に染みついたイメージ、慣れ親しんだ考え方や行動に私たちを縛り付けるイメージを浮かび上がらせ、検証し、改善する(p.240)。
  • 共有ビジョン:「自分たちは何を創造したいのか?」という問いに対する答え。組織に浸透する共通性の意識を生み出し、多様な活動に一貫性を与える(p.281)。
  • チーム学習:メンバーが心から望む結果を出せるようにチームの能力をそろえ、伸ばしていくプロセス(p.317)。

 センゲの著作含め、「学習する組織」は外的環境に適応して成長していく組織モデルのキーワード的扱いになり、参考にできる文献も多く出されています。組織の成員である個々人が、自ら成長する資質を持ち育てるとともに、組織が個人が学習・成長する環境を提供し、それによって組織全体が成長していくという個人と組織の相互作用がうまく機能することで、「学習する組織」が成立します。社会的インパクト・マネジメントを機能させるにも、その組織が「学習する組織」であることは必要条件と言えるでしょう。

参考文献:Senge, Peter M.(枝廣淳子・小田理一郎・中小路佳代子訳, 2011)『学習する組織―システム思考で未来を創造する』英治出版

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