コラム ロジックモデル
NPO法人Homedoorの取り組み
ここまで、ホームレス(元ホームレスを含む)を対象とした事業(プログラム)に想定されるアウトカムについて検討し、図表2のロジックモデルを中心に説明をしてきましたが、このようなアウトカムを達成するためには効果的な事業戦略が欠かせません。ここでは、その効果的な事業戦略の例として「Homedoor」と「山友会」を紹介したいと思います。
Homedoorは、大阪府大阪市で活躍するNPO法人で「ホームレス状態を生み出さないニホンに」を理念に掲げ、次の6つのチャレンジを通じて、ホームレスの人々の路上脱出のサポートを行っています。
(チャレンジ1:届ける)
ホームレスの人々に「困ったときに手を差し伸べてくれる存在がある」ことを知らせるために、巡回活動や店舗等へのポスター・バナー広告の設置を行っています。
(チャレンジ2:選択肢を広げる)
Homedoorでは、まずは相談に来られた方の気持ちに寄り添い、相談支援を進めていき、既存の社会資源のみにとらわれず、新たな資源(選択肢)をつくりながら、相談者の生活に伴走した支援を行っています。
(チャレンジ3:暮らしを支える)
誰もがほっと安堵し、健康に生活できるよう、①生活応援施設「アドセンター」(自由に来所し、食事や洗濯、団らんができるなど)、②無料で食べられる「&食堂」(温かく栄養のある食事をとれる)、③健康づくりを応援する「&ヘルス」(健康測定プログラムや健康相談会を実施)の活動を行っています。
(チャレンジ4:働くを支える)
「働くことができる身体と意欲があれば、家がなくても働くことを阻害されなくて済む社会」を目指し、①就労機会の提供、②一般就労への橋渡し、③金銭管理サポートなどを行っています。
(チャレンジ5:再出発に寄り添う)
ホームレス状態脱出の道のりの中では、相談できる人や場所を見つけたりといった「何かあったときに、再び路上に出る前に何とかなる」状態にすることが必要という考えのもと、①居宅生活移行サポート、②一般就労移行サポート、③卒業生サポーターなどの取り組みを行っています。
(チャレンジ6:伝える)
ホームレス問題の背景には、(ホームレスの人は)怠けている、昼間から酒を飲んでいるという「偏見」、自業自得だ、努力しないからああなるのだという「自己責任論」、(ホームレスの人には)係りたくない、見て見ぬふりをしておこうという「他人ごととしてしまう意識」などがあるとの考えのもと、講演やワークショップを通して、様々な人たちの理解を得ていくための活動を行っています。
以上のように、ごく簡単にですがHomedoorの活動を紹介させて頂きました。これらの活動の詳細は是非ホームページ等で直接ご確認ください(https://www.homedoor.org/)。