おわりに
昨今、社会的・環境的な問題はますます複雑化・多様化・高度化しており、複数の分野やセクターで、それらの問題を解決するためのスタンダードづくりやデータ蓄積などの動きが加速しています。様々な概念や手法が登場している過渡期ですが、社会的な事業や取り組みのマネジメント方法論に普遍的な正解はないと考えます。現場にとって役立つ取り組みとなるよう、ニーズや状況に合わせて実践することが重要であり、そのためには社会的インパクト・マネジメントの使い手の創意工夫が大切です。本ガイドラインは、社会課題の解決や価値創造を見据えた現場の創意工夫を行うための羅針盤として参考にしていただければ幸いです。
社会課題の解決や価値創造を目指すのであれば、目線を「自組織」から「社会」に高めて、様々なステークホルダーの巻き込みを考える必要があります。社会的インパクト・マネジメントの要諦は、社会的インパクトを可視化しその向上を目指すこと、「評価」と「意思決定」を連動させること、そして継続的かつ発展的なものとして行うことにあります。
SIMIでは社会的インパクト・マネジメントに携わる人々のそれぞれの現場の工夫の知見を集めていきたいと考えています。また、社会的インパクト・マネジメントを、一部の専門家のものではなく、現場で活動する一人ひとりのものにしていきたいと考えています。本ガイドラインにもとづいた実践をしてみてのご感想やご意見を、ぜひSIMIへお寄せください。私たちはそれにより得られた学びや気づきを、ガイドラインの更新や社会的インパクト・マネジメントの発展に役立てていきたいと考えています。