コラム

インパクト評価

 「インパクト評価」は、「社会的インパクト評価」とは区別して用いられている、評価研究における用語です。介入(事業)のありなしによる結果を比較して、介入による「純効果(ネット・アウトカム)」を科学的手法で検証するものを、通常、インパクト評価と呼びます。インパクト評価は以下の2つの場合に大別できます。

実施グループと比較グループがある場合

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 事業で実施する内容の適用を受けた「実施グループ」と、適用を受けていない「比較グループ」の、事業実施後のタイミングのアウトカム指標を測定し、ふたつのグループに現れた指標の値の差を事業の純効果として判断します。

 この際のグループ分けを、くじ引き的な無作為な方法で行うものを「RCT(ランダム化比較試験)」と呼びます。RCTは客観的で信頼できる情報をもたらしますが、その分、高い専門性や実施コスト、多くの時間などが必要とされます。

実施グループのみの場合

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 比較グループを作らない場合には、実施グループのみについてのアウトカム指標のデータを事業実施の前と後で取得し、両者の値の差を事業の純効果として判断します。しかしこの場合は、事業実施の間に生じた当該事業以外の出来事による影響を除去することはできないので、それにより推定される事業の純効果の信頼性は低いものとなります。現れた効果の大きさについて過度の主張をしないように気をつけましょう。

参考文献:龍慶昭・佐々木亮(2004)『<増補改訂版>「政策評価」の理論と技法』(多賀出版)

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