コラム
定性的な分析手法について
定性的な分析は、定量的な分析にくらべて、精緻な方法・やり方が存在しないような印象がありますが、必ずしもそうではありません。定性的な分析における準備や方法を間違ってしまうと、あとで活用できる信頼性の高いデータが取得できなくなりますので、準備には細心の注意が必要です。ここでは、そのような準備を経てデータ収集したあとの分析方法を2つ紹介します。
ⅰ 内容分析(または「コンテンツアナリシス」等の名称で呼ばれます)
内容分析とは、一般的には、インタビューの文字起こしデータ等、テキストデータ(文字情報)を数量化して分析する手法を意味します。その大まかな手順を示すと次のような手順となります。
①テキストデータを準備する(インタビューの文字起こし、アンケート調査の自由回答など)
②テキストデータを一意味単位で抜き出す(この作業を切片化という)
③切片化したデータにコードを付与する
④類似のコードを集約し、サブカテゴリを生成する
⑤類似のサブカテゴリを集約し、カテゴリを生成する
⑥カテゴリごと(あるいはサブカテゴリごと)にコードの数を集計する
例えば、「あなたにとって、介入(事業実施)によって生じた良い変化とは何だったでしょうか」というような質問をインタビュー調査、あるいはアンケート調査(自由回答)にて行い、その結果得られたテキストデータに対して内容分析を行うことで「最も多かった良い変化とは何だったか」を明らかにすることができます。
ⅱ テキストマイニング(形態素解析)
テキストマイニング(形態素解析)は、自然言語で書かれた文章を語(形態素)に分割する処理のことを意味します。この分析は、新聞記事等、大量のテキストデータを分析する際に役立ちます。
具体的には、分析対象となったテキストデータの「形態素(意味が通じる最小単位の語)」をカウントし、「形態素」ごとに全体の傾向を把握することができます(例えば、最もよく使われているアウトカムに関する「語(形態素)」は何かを調べるなど)。また、テキストマイニングによって分割した「形態素」に対して「因子分析」等を行うことで、テキストデータ全体でどのような類の語が多く使われているのかを把握することもできます(例えば、アウトカムに関する「語(形態素)」は大まかにどのような分類ができるかを調べるなど)。
この分析は、例えば、数百人、数千人規模を対象として「あなたにとって、介入(事業実施)によって生じた良い変化とは何だったでしょうか」というようなアンケート調査(自由回答)を行った場合、全体的な回答傾向を把握するために用いることができます。