コラム

エビデンスのレベル(NESTA)

 イノベーションのサポートを団体のミッションして掲げるNESTAは、イングランド・ウェールズ・スコットランドに登録された非営利組織です(https://www.nesta.org.uk/)。

 NESTAでは以下に示す「エビデンスの基準(Nesta’s Standards of Evidence)を設け、エビデンスに関し、5つのレベル分けをしています。

 

レベル1:

・何に取組むか、それがなぜ重要かを論理的に、首尾一貫して、納得いくように示せる。
★ロジックモデルなどが描ける。

レベル2:

・ポジティブな変化を示すデータはあるが、その取組みに起因していることを裏付けられない。
★横断調査の結果、あるいは事前事後評価などの結果からポジティブな変化が確認できる。

レベル3:

・取組みに因果関係があることを、統制や比較群を用いて示せる。
★外部要因を可能な限り排除できる統計分析手法、ランダム化比較試験(インパクト評価)を用いて、取組みとアウトカムの因果関係を確認できる。

レベル4:

・1つ以上の独立したスケールアウト事例の評価により、取組みの因果関係を確認している。
★レベル3とは別の事例(1つ以上)で因果関係を確認できる(メタアナリシスが最も上位の作業と考えられる)。

レベル5:

・マニュアル、システム、手順書により、一貫したスケールアウト方法が確保されている。
★スケールアウトを用意にするためのツールが装備されている。

※ 訳は家子(2020)に新藤(SIMガイドライン作成メンバー)が★部分を加筆。

 社会的インパクト・マネジメントの実践においては、その対象となっている事業・プログラム(取り組み)がどのレベルに位置づくのかを考えながら進捗させていくのが良いでしょう。

(引用・参考文献)
Ruth Puttick & Joe Ludlow (2013). Standards of Evidence: An Approach that balances the need for evidence with innovation. NESTA.

家子直幸(2020)「対人サービスのイノベーションをEBPに発展させるための英国での取り組み:What Works Centerを中心に」『日本評価学会第20回全国大会発表抄録』

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