Social Impact Day 2020
基調講演:『お金が表す価値を再考する-社会的インパクト・マネジメントがもたらす未来-』
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スピーカー:
・Jed Emerson氏(Blended Value創業者)
・銭谷 美幸氏(第一生命ホールディングス(株)経営企画ユニットフェロー、第一生命保険(株)運用企画部フェロー)
モデレーター:
・伊藤健(一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ業務執行理事、特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン代表理事)
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【セッション・サマリー(開催報告)】
Blended Valueの創業者で、90年代にSROI(Social Return on Investment=社会的投資収益率)の概念を開発したジェド・エマーソン氏は、近年のインパクト投資市場の盛り上がりに対し、方法論やプロダクトなどの「How」に注目が行きすぎていうることに軽傷を鳴らしており、より本質的な「Why(なぜ)」を問うことの重要性を強調しています。
ESGの概念が金融のメインストリームに入ってきたことで、市場は大規模な広がりを見せています。一方で、ファンドの規模の大きさがイコール、インパクトの大きさであるとの混同があり、本来インパクト投資が目指すべきことは、主流の金融に受け入れられることを目指すのではなく、その逆で、資本を持って主流の金融に挑戦し、資本の目的は単純により多くの資本を生み出すことだと言う前提に挑むべきだと言います。そしてどれだけお金を稼いだかだけで価値を測るのではなく、価値の本質や、キャリアや人生の中で実際に創造しようとしているものは何なのかと、より難解で深い問いかけをすることの必要性、また他の誰かに与えるものとして語られがちなインパクトを、対話や会話、相互探求を通じて私たち自身にも深く影響を与えるものとして捉えることの重要性を指摘しています。
もう1人のゲストである銭谷氏が所属する第一生命は、2020年に全ての商品にESG要素を組み込むことを発表しました。日本の金融機関は米国のように金融セクターがビジネスの中心という考え方ではなく、事業会社の支援者であり、地域、社会、経済の活動を支えるインフラであるという、伝統的な日本の三方良しの価値観を考え方の中心においています。また日本には長寿命企業が世界一多いという事実もあり、日本でESGの統合を考えるということは、こうした意味で企業の持続可能性を考えることでもあると言います。
インパクト評価の現状については、現在様々な専門家が集まって国際的な議論が進められていますが、財務評価の指標が何十年という長い時間をかけて確立されてきたことからも、インパクト評価のあり方が確立するまでにはまだ時間が必要です。そうした中で、一人一人が資本をどのように活用するかを考え、また謙虚さを持って他の人たちの学びや経験に耳を傾け、この大きな歴史的なプロセスに向き合っていくことの大切さを指摘しています。
サマリー執筆:伊藤健
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