SIMIからのお知らせ SIM:取り組み事例

【取り組み事例】 CureApp

■カテゴリ

事業分野 医療・健康
事業開始年 2019年
組織形態 株式会社
組織規模 92名(2020年6月末現在)

■基本情報

事業名称 とよなか卒煙プロジェクト
実施地域 大阪府豊中市
事業概要

豊中市在住または同市に勤務する方を対象として、医師が開発したスマートフォン用禁煙支援アプリ・オンライン指導・一般用医薬品の自宅配送を組み合わせた、12か月間の禁煙支援プログラムをソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の仕組みを使って実施。

運営団体

株式会社CureApp

事業URL

禁煙支援事業 とよなか卒煙プロジェクト

https://cureapp.zendesk.com/hc/ja/articles/360024353214-とよなか卒煙プロジェクト-豊中市の在住者-在勤者の方のプログラム参加について-

■社会的インパクト・マネジメントの概要

はじめたきっかけ SIBは、成果の達成水準に応じて支払額(本事業では、資金提供者へのリターン)が異なる仕組みであり、事業の実施に成果の評価が織り込まれている。
実践内容 「プログラム参加者数」と「禁煙成功者数」が成果指標となっている。成果指標は定期的にモニタリングして事業改善につなげている。例えば、プログラム参加者数については、募集方法による参加者数の違いを把握し、募集方法を変えている。
取り組んでよかったこと
  • 成果を測定することにより、費用対効果を把握やステークホルダーに説明がしやすくなる。また、収集したデータを他の事業のために活用することもできる
  • 世界初の禁煙SIBであるということで注目を集めることにもつながった。
今後の課題  
資料URL

とよなか卒煙プロジェクトについて(豊中市ウエブサイト)

https://www.city.toyonaka.osaka.jp/kenko/kenko_hokeneisei/kenkouzukuri/tabako/toyonakasotsuen.html

社会的インパクト・マネジメントの取り組みインタビュー

1、禁煙という分野における課題分析はどのようにされたのですか。

 国内外で禁煙の重要性が高まっています。本年4月1日には、健康増進法の一部を改正する法律が全面施行され、受動喫煙の防止が規定されました。

 たばこの弊害という点については、専門の先生方などが多々情報を公開されていますので、そこについてのご説明はここではしませんが、喫煙によって医療費が増加したり、労働生産性が低下したりといったことが生じます。禁煙をすればそういった問題が解決され、また健康寿命の増進にもつながります。しかし、まず、禁煙をすることはすごく難しいということがあります。

禁煙をするためのソリューションとして、禁煙外来や地域での禁煙を推奨する各種取り組みなど、様々なものが提供されています。しかし、通院がハードルとなって始めづらい、孤独感などへの心理的なフォローが不足しているなどの課題もあるのが現状です。そこで、これまでにない新しいやり方で、かつ費用対効果も高い取組として自社の禁煙支援プログラムが使えるのではないかと考えたのが今回の取り組みのきっかけです。

2.プログラムの具体的な内容を教えてください。


本プロジェクトはソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の仕組みで実施しています。禁煙という取り組みにおいてはこれまでSIBの事例はなく、世界初の試みです。
提供される「ascure(アスキュア)卒煙プログラム」は、医師と開発したスマートフォン用禁煙支援アプリ「ascure卒煙」、オンライン面談(保健師や薬剤師等の医療資格保有者による面談)、一般用医薬品の3つがセットになっている完全オンラインのプログラムです。アプリは利用者の入力に応じて挙動が変わりますし、オンライン面談は半年という長期間にわたり1回30分程度の手厚い指導を継続して実施するため、参加者を24時間365日心理面でサポートすることが可能になります。医薬品は自宅に配送されます。なお、本プログラムは医療行為ではないので、送付される一般用医薬品はドラッグストアなどで買えるニコチンパッチやニコチンガムです。参加条件は、豊中市在住もしくは在勤の方です。一部対象外とする条件はあるものの、属性や禁煙の難易度に関わらず、参加申し込みをされた方皆さんが禁煙に成功するように取り組んでいます。

 

3、今回の事業で、対象者や目標値はどのように設定しましたか?

 豊中市の事業ですので、予算と費用の関係で設定しました。目標値については、仮説をもって試算をした結果で設定しました。本プログラムはは、これまでも大手健康保険組合を中心に法人顧客180社以上に提供した実績があります。しかし、自治体という単位でサービスを提供するのは私たちとしては初めてであり、ベンチマークにできる対象はありませんでした。そのため、法人顧客へのサービス提供での成果を参考にしつつ設定しました。また、禁煙外来についても、厚生労働省が公表している資料に禁煙外来の追跡調査の結果などが出ているので、そちらを参考にしました。

4、事業の実施過程で成果の達成状況のモニタリングをしていますか?


 成果指標として、プログラムの参加者数と参加者のうち禁煙が実現できた人数ということがあるので、それらは常に最新の状況を確認できるようになっています。
参加者数については、例えば、募集形態によって参加者がどのくらい集まったのかということをウォッチし、その結果に基づき募集方法を改善するということをしています。例えば、ある方法で効果があったら、それを来月にも継続しよう、といった感じです。法人に対して提供しているサービスにおいてもこういったモニタリングは常にしているため、今回のプロジェクトにもその方法は活かしています。
 禁煙の実現については、プログラムを初めてから1年後に判定をします。プログラムは半年間提供し、残りの半年間はプログラムがない経過期間です。この経過期間の間にも禁煙の継続をして、それを判定することになります。面談回数は6回が基本ですが、禁煙が難しい方に追加のフォローアップをすることもあります。禁煙の判定方法としては、自己申告に基づくものに加えて、オンライン面談中に指導員の目の前でキットを使って行う客観的な方法でも実施しています。
 途中での脱落率は、成果指標ではないものの、モニタリングをしています。その要因の分析はもちろんしており、事業に活かしています。

5、ステークホルダーへの報告はどのようにしていますか?


 定期報告は月1回ですが、豊中市との普段のコミュニケーションはもっと頻繁です。事業の実施において市の協力は不可欠なので、日々連絡をとっている状況です。
 SIBという仕組みの大変なところは、ステークホルダーが多く、コミュニケーションが複雑になることです。それに伴い中間コストが高くなる傾向にはあります。ステークホルダー間のコミュニケーションのマネジメントが必要です。

6、この事業の成果は今後どのように活用できるとお考えですか?


 これまでは健康保険組合様などにプログラムを提供してきたため、参加者は同一組織に所属する方ということになります。本プロジェクトでは、1つの自治体が対象なので、参加者の属性がより多様です。このようにいろいろな方にプログラムを提供した経験やデータは、今後の事業展開に活用できると考えています。

 

 

 

インタビュー実施日: 2020年5月21日
インタビュイー  : 株式会社CureApp 井上慎太郎様、田川耕治様
インタビュアー  : EY新日本有限責任監査法人 高木麻美、福井健太郎、新村和久

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