SIMI:取り組み事例

2021年02月10日

【取り組み事例】特定非営利活動法人CWS Japan

■カテゴリ

事業分野 医療・健康
事業開始年 2011年
組織形態 特定非営利活動法人
組織規模  -

■基本情報

事業名称  -
実施地域

アジア各国、日本国内

事業概要

米国に本部を置くCWSの歴史は、敗戦直後の日本へ贈られた救援活動のララ(Licensed Agencies for Relief in Asia)物資から始まった。その後の活動を経て、2011年には東日本大震災に対する緊急支援を行うため、CWSとして再び東京に事務所を開き、CWS Japanが設立された。CWS Japanでは、アフガニスタン、パキスタン、インドネシア等で各種支援を行うほか、日本国内でも災害支援等を行っている。

運営団体

特定非営利活動法人CWS Japan

事業URL https://www.cwsjapan.org/

■社会的インパクト・マネジメントの概要

はじめたきっかけ

日本においては、NGOはプロフェッショナルとして一般の方に認識されていないのではないかと考えている。アウトカムを可視化することにより、その認識を変え、NGOに対する理解を深めたい。

実践内容

既存事業において、ロジックモデルを作り直した。これにより、アウトカムを達成するためには、当初想定していたこと以外にも必要なことがあることが見えてきた。現在、社会的インパクト・マネジメントを(他の事業も含めた)活動に落とし込む途中段階にある。

取り組んでよかったこと

ロジックモデルを作り直したことによって、これまでのアウトカムが抽象的であったこと、アウトカムの達成のためには、他の要素も必要であること、といった気づきが得られた。また、事業を組み立てなおしたことによって、開発コンサルの方の意識変革もみられた。

今後の課題

一般の方からの共感を得るために、アウトカムを客観的に示したい。その際、長いレポートにするのではなく、デザイナーやメディアを活用して、より伝わりやすい方法で見せることを検討したい。社会的インパクト・マネジメントを根付かせるためには組織カルチャーの変革が必要である。

資料URL

CWS Japanプロジェクト概要

https://www.cwsjapan.org/categoryプロジェクト概要/

社会的インパクト・マネジメントの取り組みインタビュー

写真)災害リスクが高いと想定される地区の様子

1、社会的インパクト・マネジメントを始めたきっかけは何ですか

背景として、日本のNGOセクターのSIMに対する理解を深めたいという思いがあります。国内では、様々なNGOが広報活動に取り組んでいますが、その内容は活動やアウトプットにフォーカスし、アウトカムは取り上げられていない傾向があります。また、日本では、一般の方には、NGOがボランティアととらえられていて、プロフェッショナルであるという認識がなされてません。アウトカムの可視化によりその認識を変え、より受け入れてもらえるのではないかと考えました。

発信する内容として長い報告書を出しても誰も読みません。結局どうなったのかということを伝えたい、それをNGOセクターとして当たり前にしたいという思いで、NGO2030[1]としての取組を始めました。NGO2030が取りまとめた、2030年までに目指す方向性の1つとして、「NGO セクターが社会変革のために不可欠な、魅力的な業界として認知される」ことを掲げており、「質が高い確かなインパクトを出し、そして社会を変革するアクターとして自らの成果を市民社会や他アクターに常に発信する」ことを目指しています。

CWS Japanとしても、社会に対してどういう価値を伝えられるかということがとても重要ですし、アウトカムを可視化して、それにより事業を改善していくプロセスも大事だと思っています。国際活動をしている団体がたくさんある中で、団体の魅力やどこが優れているかを見せていきたいと思います。

[1] NGO2030は、ジャパン・プラットフォーム、国際協力NGOセンター、JEN、CWS Japan、SCJや有志のメンバーで構成され、2030年を見据えた日本の国際協力NGOのあるべき姿や役割に関するビジョンを検討するグループ。

2.社会的インパクト・マネジメントとして具体的にどのようなことをしていますか

 現在は活動に落とし込む途中の段階にあります。国際協力の分野ではログフレーム[2]というもので目標や指標を設定します。ログフレームは、委託金や助成金の申請書で求められているため、全ての事業について作っているので、目標値の設定や評価は初めての経験ではありません。

 しかし、ログフレームを作ることに慣れすぎていて、ログフレームの要素間の関係性にあまり着目していなかったという反省がありました。そこで、事業の1つ、アフガニスタンでの「コミュニティ防災力向上事業」でロジックモデルを作り直すということをしました。ログフレームを作るときにはトップダウン(最終目標から作っていく方式)で作ります。今回、ロジックモデルで、個々の要素の連動性に着目し、例えば、「このアウトプットだけでこのアウトカムは出てくるのか」ということを、目標となる数字も当てはめながら改めて見直しました。その結果、変化を起こすためにはもっと他の要素も必要なのではないかということが見えてきました。

[2] ログフレームはロジカル・フレームワークの略称で、プロジェクトの主な構成要素とそれらの論理的なつながりを示すもの。

写真)地形図を分析するワークショップ

3、ロジックモデルを作成して得られた気づきについて詳しく教えてください。

 ロジックモデルを作り直したことによって、これまではアウトカムは抽象的であったという気づきもありました。アウトプットをもってアウトカムの達成を示していたようなところがありました。例えば、住民が「主体的なリスク把握ができるようになった」というアウトカムを達成するためには、ハザードマップが作成されたというアウトプットだけではなく、もっと他に要素が必要ではないか、ということです。

 さらに、変化を起こするために必要な要素を事業の設計段階から組み込んでいくことが大事だと思いました。一般の方たちに理解をしてもらうためにも、要素の分解が必要です。

 それがドナーから求められる、求められないは別として、内部ではこういうことを考えなくてはならないと考えています。

 SIMIの研修で、最初の分析が大事ということを学びました。複数の事業でそれをするのには時間も労力もかかります。そのため、それがもたらす価値、メリットが分からないと実施につながりません。組織内での理解の深めるためには、このような事業の見直しにも時間を割いていくことが大切です。新しい事業についてはプロジェクトメンバー全員で考えていくことが必要だと思います。

写真)地滑り・土砂崩れに関する防災冊子

4、社会的インパクト・マネジメントを根付かせるためには何が必要だと思いますか

 組織カルチャーの変革が必要だと思います。これをしない理由はいくらでもつけられます。しかし、それを「絶対にやるんだ」というマネジメントのメッセージや優先順位付けが大事だと思います。加えて、事業プロセスも変えていくことが必要です。

組織のシステムに落とし込むために、人事考課にこれを反映していくことも考えられます。こういうことに注力するスタッフをどれだけ評価するかということです。インパクトの実現なくして、どれだけお金を取ってきたのということが強調されると、申請書書きにフォーカスすることになります。

幸いにも、高い意識を持ったメンバーが多いので、実現できるのではないかと思います。

5、今後の方向性や課題を教えて下さい。

 一般の方からの共感を得るために、アウトカムを外部視点で客観的に示したいです。必ずしもレポーティングにこだわっているわけではありません。デザイナーやメディアを活用し、動画やインタビューのような形式で見せるという方法もあると思います。共感できるようなストーリーを示していきたいです。

 事業を組み立てなおしたときに印象的だったのは、技術協力いただいた民間コンサルタントの方の意識が変わったことです。自分たちは黒子となって、対象国に持続的な仕組みを作っていくことが大事だという気づきがありました。ロジックモデルはあくまでもプロジェクトの対象者のことを書いています。一方、ロジックモデルに表しにくいこともあります。例えば、現地パートナーの影響力などは表しにくいです。そういう意味では、違うセクターの方を含めたステークホルダーの巻き込みは大事です。サイエンスだけでなくアートの部分も伝えることができれば良いと思います。

インタビュー実施日: 2020年7月2日
インタビュイー  : CWS Japan 小美野剛様、西澤紫乃様
インタビュアー  : EY新日本有限責任監査法人 高木麻美 

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