SIMIからのお知らせ SIM:取り組み事例
【取り組み事例】特定非営利活動法人育て上げネット
■カテゴリ
事業分野 |
若者就労支援 |
事業開始年 | 2001年 |
組織形態 | 認定特定非営利活動法人 |
組織規模 | 122人(正規職員、契約職員) |
■基本情報
事業名称 |
若年者就労基礎訓練プログラム「ジョブトレ」 |
実施地域 | 首都圏 |
事業概要 |
生活リズムの改善から仕事に向かうための様々な基本スキル形成までを段階的に身につける実践的プログラム。IT・販売等のインターン体験や就活、就職後の「働き続ける」までを支援。 |
運営団体 |
認定特定非営利活動法人育て上げネット |
事業URL |
■社会的インパクト・マネジメントの概要
はじめたきっかけ |
より多くの若者の就労可能性の向上および就労継続率の向上のために、①支援手法の可視化や体系化、②エビデンスに基づいた支援現場の改善の2つ目的として、評価の概念を取り入れることにしたこと。 |
実践内容 |
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取り組んでよかったこと |
支援内容の改善につながっていること。 |
今後の課題 |
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資料URL |
H30年事業報告書 https://www.sodateage.net/wp/wp-content/themes/sodateage/pdf/H30_jigyou_houkoku.pdf |
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社会的インパクト・マネジメントの取り組みインタビュー
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1、社会的インパクト・マネジメントを始めたきっかけは何ですか?
育て上げネットは、「すべての若者が社会的所属を獲得し、『働く』と『働き続ける』を実現できる社会」を目指して事業を行っている団体です。事業領域は大別して若者・家族・学齢期の子どもの3つの領域と多岐にわたり、「若者と社会をつなぐ」ための活動を行ってきました。社会的インパクト・マネジメントに繋がる社会的インパクト評価やその他の評価手法を取り入れ始めたのは2015年ころからです。
私たちのビジョンである「『働く』と『働き続ける』ことができる社会」の実現のためには二つのアプローチが必要でした。一つ目は無業の若者の就労可能性を向上すること、二つ目は就業が継続する若者が増加するためにその実態を可視化することです。そこで、より多くの若者の就労可能性の向上および就労継続率の向上のために、①支援手法の可視化や体系化、②エビデンスに基づいた支援現場の改善の2つ目的として、評価の概念を取り入れることにしました。例えば形成的評価と呼ばれる手法を用いて、利用者である若者に対する具体的な支援の質向上に取り組んでいます。また総括的評価の手法を用いてプログラムの成果を測り、プログラム全体の改善に取り組んでいます。このような形で評価を取り入れることで、評価結果をエビデンスとして活用し、就労と就労継続の可能性向上に取り組んでいます。
2.社会的インパクト・マネジメントとして具体的にどのようなことをしていますか?
具体的には、IT企業への就職支援プログラムの社会的インパクトの促進のために評価手法を活用しており、これがいわゆる社会的インパクト・マネジメントと呼ばれているものにあたると思います。
私たちの団体には、IT企業での就労経験がない若者がトレーニングを受けてIT企業に就職するというプログラムがあります。そのプログラムの就職率の向上および若者が就労後に継続して働き続けられるように支援するためには、労働市場側のニーズにも応え、IT企業側が求める能力要件を支援プログラムを通じて獲得する必要がありました。その能力要件は細分化すると約40個に及びます。この40個の能力要件を難易度や獲得すべきタイミング別に分け、若者が無理なく獲得できるようプログラムに組み入れました。またその能力要件を獲得できているかを可視化するために支援員がチェックできる仕組みとしました。
この仕組みにより、支援員は支援の過程で若者が就職可能な段階にどの程度まで近づいているかということを月1回把握することができ、若者に適切なタイミングでフィードバックすることができるようになりました。
また、IT企業への就職支援プログラムに限らず、若者が当事業所に来所してから卒業するまでの期間において総合的に評価の概念を活用しています。例えば、形成的評価の手法を用いて若者の支援ステージを分析し、評価結果を可視化することで担当支援員以外の支援員とも支援の方法について相談できるようになりました。現在は、支援の段階を複数設定し、その段階ごとに設定された指標を用いて若者の到達段階を可視化することで、複数の支援員が集まり支援策について共有、相談するケース会議においてどのような支援が良いか、複数の目で判断できるようになりました。
評価をすることが目的ではありません。あくまで、あるべき支援は何かを考えるために実施しています。評価をすることで支援内容の改善につながり、社会的インパクトの促進に繋がっていると思います。
3、このような仕組みはどういった体制で実現したのですか?
最初は、小さなチームで始めました。ポイントとしては、「協力してもらえるところからスタートする」ということです。現在は1、2の事業所に展開したところですが、今年度中に全事業所に展開したいです。
また前項において少し触れていますが、支援の質を保証する仕組みも導入しました。ケース・マネージャーを配置し、ケース・マネージャーがケースごとの支援の質を保つために、支援計画と進捗管理のプロセスを導入するとともに、支援者をトレーニングする体制をつくりました。
育て上げネットの特徴は、複数の支援者がチームで支援をするところです。複雑で多様な困難さを抱える若者には、複数の観点から支援計画を検討することが必要になります。しかし、複数の支援者がいるため、対象者の段階ごとに設けた指標の判断などに差が生じることが考えられます。評価項目ごとに1はどういう状態で、2はどういう状態で、を理解がずれないように定義する取り組みをしています。また、支援者の能力評価をし、支援者の支援能力開発のPDCAをまわすためのするための能力評価の項目を約600項目定義しました。例えば、「支援の方針を立てる」「モニタリングする」といった支援の仕事も、それぞれ10項目程度の能力項目に分解されています。
4、どのような期間で仕組みの改善をしていますか?また、今後の課題や方向性について教えてください。
年に1回見直しを行っています。例えば、「今年度はこの方法でチャレンジしていこう」ということを1年に1回決めるイメージです。
今後は若者以外の別の領域にも広げていきたいと考えています。同時にペースも上げていきたいです。
(インタビュー実施日) 2020年7月2日 (インタビュイー) 認定特定非営利活動法人育て上げネット 新宅 圭峰様 (インタビュアー) 株式会社ユニアス 山中資久、特定非営利活動法人WELgee 渡辺早希、 特定非営利活動法人ソーシャルバリュージャパン 伊藤枝里子、EY新日本有限責任監査法人 高木麻美 |
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