Social Impact Day 2020

2021年04月02日

セッション3:『サステナビリティ情報開示を巡る国際動向 ー GRI・SASB・IIRC・CDP・CDSB整合化のゆくえ』

************************************
スピーカー:
・森洋一氏(日本公認会計士協会 企業情報開示専門委員会 専門委員長)
・冨田秀実氏(ロイドレジスタージャパン株式会社代表取締役)
・磯貝友紀氏(PwC Japanグループ サステナビリティ・センター・オブ・エクセレンス テクニカル・リード、PwCあらた有限責任監査法人 パートナー)

モデレーター:
・水口剛(公立大学法人 高崎経済大学経済学部 教授)
************************************

本セッションの詳細記事はこちら


【セッション・サマリー(開催報告)】

企業のサステナビリティ情報開示には様々な基準が既にありますが、2020年には大きなトピックが3つありました。まずWEF(世界経済フォーラム)が報告書で、「ステークホルダー資本主義を測る」ための指標を公表しました。さらにサステナビリティ情報開示に関わる主要5団体が協働ステートメントを発表し、さらに国際会計基準の策定組織と並列で国際サステナビリティ基準審議会を設置する提言がIFRS財団からなされ、開示基準の整合化を図る大きな動きがありました。背景には、国際的に増加するESG投資の潮流や、政策としてESGを進める欧州の動向があります。

企業側も、経営戦略にサステナビリティをなぜ組み込むのかという段階は既に終わり、どのようにKPIを立てて組織に統合し、計測し、資源の選択と集中を行っていくかに関心が移っています。開示基準の整合化に向けては、グローバルで一貫性があり、比較可能性があり、かつ既存の基準を活かしたものとする方向が期待されています。

また議論の中では、「ダイナミック・マテリアリティ」という、経済や環境、社会に組織が与えるインパクトは、トピックによって時間をかけて、あるいは急速に組織の価値創造に影響を及ぼすようになると動的に捉える概念も提案されています。

IFRS財団での議論は当面は気候変動に絞った形で議論が進んでいくため、全てが統合するまでにはまだ10年以上の時間がかかることが想定されます。そのような状況下において日本企業には、1)価値創造に影響を及ぼすバリューに関する側面と、社会に影響を及ぼすインパクトの側面の両面の関係性を包括的かつ動的に捉えること、そして、2)横並びで比較可能性を高めていく部分と、自社の存在意義や戦略と照らし合わせてふさわしい開示を進めていく部分とを各社がそれぞれでしっかりと考え、投資家やステークホルダーに説得力を持ってコミュニケーションしていくことができるか、が問われています。

 サマリー執筆:有限会社エコネットワークス 野澤健


本セッションの詳細記事はこちら

カテゴリー

年別アーカイブ

月別アーカイブ

TOPに戻る