4章 インパクト・マネジメント・サイクルの回し方
4節 インパクト・マネジメント・サイクルの発展
3章1節でも触れたように、インパクト・マネジメント・サイクルは、PDCAのような平面的なサイクルとしてではなく、社会的テーマに取り組むための立体的な、発展型のサイクル(スパイラル)として捉えることが重要です。
図表10では、インパクト・マネジメント・サイクルを発展させる要素として考えられるものを例示しています。インパクト・マネジメント・サイクルの発展は、単にヒト・モノ・カネが「拡大」することを意味するのではなく、社会課題解決や社会価値創造がより進展していくことを意味しています。インパクト・マネジメント・サイクルの発展の本質は、より多様なステークホルダーの賛同や参加・協力を得ていくことで、事業や取り組みが地域的・社会的な取り組みへと発展していき、継続的な形で社会課題解決や社会価値創造が進展していくことです。例えば、事業や取り組みの効果を実証することは、それが社会にとって有用であることを示し、また多くの人たちが使える技術にしていくことにつながるでしょう。
図表10:インパクト・マネジメント・サイクルを発展させる要素の例
インパクト・マネジメント・サイクルを戦略的に発展させていくためには、前節で3つ目のパターンとして示したような、長期的視点での計画・検証が必要になります。短期的視点での事業や取り組みの実施、そして評価ということでは、目先の結果を追い求めることになりかねません。事業を中長期で構想するように、社会的インパクト・マネジメントの実践も中長期で考えていくことが、より本質的な社会的インパクトを実現させていく上で重要になるでしょう。