Social Impact Day 2025 SIMIからのお知らせ

Social Impact Day 2025を終えて

SIMI理事 高木麻美

 2025年5月14日から16日にかけて開催されたSocial Impact Day 2025は、全17セッションに国内外から多彩な登壇者を迎え、約550名の皆様にご参加いただき、盛況のうちに幕を閉じました。ご参加いただいた皆様、そして協賛・後援・協力をはじめ、企画・運営に携わってくださったすべての皆様に、心より感謝申し上げます。

 今年のSocial Impact Dayのテーマは「インパクト・エコノミーの地殻変動」でした。制度や市場のルールが根本から揺らぎ、社会課題の解決と経済活動との関係性が再定義されつつある今、私たちはどこへ向かうのか。こうした問いに対して、さまざまな立場からの視点を交え、実践者たちの言葉とともに未来を見つめる場となりました。 

 基調講演では、『Moving Beyond Modern Portfolio Theory: Investing That Matters(「良い投資」とβアクティビズム:MPT=現代ポートフォリオ理論を超えて)』の共著者であるJon Lukomnik氏とJames P. Hawley氏が登壇。長年にわたり金融資本主義の中核を担ってきたMPT(現代ポートフォリオ理論)について、現代の複雑なシステムリスクには対応できていないと指摘し、「投資家一人ひとりの積極的関与=ベータ・アクティビズム」こそが、資本主義をアップデートし、サステナビリティ課題に立ち向かう鍵であると提起しました。

 こうした本質的な問題提起に続く各セッションでは、地域主導や官民連携、信頼に基づくフィランソロピー、自然資本・生物多様性、インパクト投資を通じた共創と成功事例の創出、インパクト会計、アジアや欧州の取組、新たな制度や枠組み等々のテーマで多様な実践者が登壇し、それぞれの分野における取組や課題が共有されました。

 とりわけ今回は、市場全体を揺るがす変革の力となりつつあるインパクト・エコノミーの進展と、取組の深化に伴い顕在化する課題をいかに乗り越えるかという視点から、「マルチステークホルダー」の連携に焦点が当てられました。金融機関、行政、企業、市民社会など多様な主体が参画し、立場や組織の枠を超えて対話と協働が生まれる様子からは、こうした共創の広がりこそが「地殻変動」を乗り越える原動力であることが強く感じられました。

 インパクト・エコノミーが加速する今こそ、多様な立場が交わり、新たな解決策を共に生み出すときです。Social Impact Dayでの学びと対話が、それぞれの現場での一歩につながることを願っております。

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