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【開催レポート】「現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸」(2)団体活動紹介「NPO法人空家・空地活用サポートSAGA」

社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(以下、SIMI)では、11月27日に、「~緊急時における社会的インパクト・マネジメント vol2~『現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸』」を開催しました。
(開催案内はこちら

本開催レポートは、当日のディスカッションを書き起こし、整理したものです。【開催レポート】「現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸」
(1)団体活動紹介「公益財団法人佐賀未来創造基金」
(2)団体活動紹介「NPO法人空家・空地活用サポートSAGA」
(3)団体活動紹介「Yahoo!基金」
(4)パネルディスカッション前編
(5)パネルディスカッション後編
(6)[主催チームまとめ]緊急時における社会的インパクト・マネジメントのポイント


塚原 功氏

特定非営利活動法人空家・空地活用サポートSAGA 代表理事

〇団体概要

塚原)空家・空地活用サポートSAGAの代表理事をしております塚原と申します。ちょっと長い名前なので、「空家・空地」で地元では「そらそら」という愛称で呼んでいただいています。
 私どもは平時には空き家対策をメインにやっているわけですけれども、弁護士、司法書士、建築士など、いろんな問題を解決する上で様々な士業の方の力を借りる必要があるということで、団体を作ったときに「空家対策ネットワーク」というものを立ち上げております。

 

 ビジョンは「空き家や空地が適正に管理・継承され、利活用される事で、それらが多い地域で発生し易い、犯罪等様々な不安が解消され、『住む人・働く人・訪れる人』が増加し、地域が賑わい、誰もが住み続けられる街が、形成された社会になる!」です。
 ミッションは「空き家対策ネットワークを駆使し、空き家・空地問題解決に携わり、様々な解決法・利活用方法を提案、実践する事で、地域や人々を巻き込み、より多くの空き家問題を解決し、人々の居場所や住居を産み出し、未来へ継承する」です。

〇事業内容「助成事業関連」

 事業内容の1つである、「助成事業関連」をご説明します。「空き家・空地に関する調査・提案・支援」「空き家対策の各種講演」「空き家・空地の維持管理」などです。「住宅確保要配慮者居住支援事業」というのもありますが、これは社会的弱者と言われる方たちへの居住支援です。また、独居の老人の方が多くいらっしゃいますので、「死後事務委任プラットフォーム」というのを構築し、そういった方たちのお手伝いもしております。それと、NPO等へ向けての不動産での遺贈とか寄付がだんだん増えてきておりますので、その精査をするような窓口も行っております。

〇事業内容「ソーシャルビジネス」

 もう一つの事業内容が「ソーシャルビジネス」です。こちらはロジックモデルによって確立された取り組みです。ここで取り組んでいるのが「空家・賃貸住宅のサブ・リース」で、社会的弱者の方たちを中心に住居を提供しています。「シェアハウスの運営」もしており、これは外国人の留学生向けに作っており、いろんな形で増やしていく予定です。
 それと山田理事長からお話がありました、休眠預金事業にも取り組んでいます。街中の大きな空き家、空き店舗をオーナー様からお借りして、CSO(市民組織)が8、9団体ぐらい入っている「シェアオフィスの運営」をしております。
 更に、NPOとしては全国に5~6団体程度だと思いますが、宅建の免許を取得し「不動産事業」をしております。いろんな困りごとへの対応、なかなか不動産業界では取り扱ってくれないような空き家の売買・利活用とか、社会的弱者の入居者の斡旋などを行っております。それに伴い、「少額短期保険」という保険や、入居者の方で保証人がいない方の「賃貸保証」というのも同時に取り扱っています。
 そうすることによって、この居住支援、空き家の問題の相談支援の数がかなり多くなってきております。ソーシャルビジネスとしての収益も少しずつ確保出来始めております。

〇空き家問題と社会的弱者の居住問題

 空き家問題というのがあるのはご存知だと思いますが、全国の空き家戸数は846万戸、平均で13.6%、これは地方と都心部では当然違いますが、今後人口の減少、少子高齢化の中、増える一方だと言われております。
 一方で、これだけ空き家、空きアパートが多い中、入居を拒まれるというのが、先ほど紹介した、住宅確保要配慮者と言われる方達です。この方々は部屋が空いているにも関わらず入居を拒まれるケースが多いという問題があります。
 これら二つの問題を解決するために、「空き家を活用して社会的弱者の住まいに!」ということで多くの取り組みをしております。それがシェアハウスの運営で有り、要配慮者の方のアパート入居の斡旋です。そうすることによって、空き家問題の解消と、社会的弱者の方への居住問題の両方の課題が解決できます。

〇令和元年佐賀豪雨災害(2019年8月27日発災)

 これからが災害時のお話です。佐賀は災害が非常に少ないので、何かあったときには、他県の応援というのを当時はメインに考えていました。災害時の支援のプラットフォームを発足させようということで、お声がけをいただき、賛同団体としてそのネットワークに加入させていただきました。
ですが、私どもは災害支援の団体ではありませんし、私共を含め、災害時に何をやったらいいのかは多分7割ぐらいの団体さんがわからないままでした。
 その後、災害支援の大きな団体が主導して勉強会等を実施していました。私どもも何ができるかはなかなか具体的に考えることもできずに、模索をしながら、とりあえず勉強会に参加していました。月に1回ぐらいの勉強会を4、5回位やっていた中で思いもよらぬ災害、豪雨災害が発生しました。実際に現場で起きたことについての経験を、少しお話させていただければと思います。
 災害時に何ができるかは、考えてもいなかったことなのですが、実際で起こっているわけですから、とりあえず何かやろう、いろんなことをやってみようという感じでした。
 最初は、夜の7時、8時ぐらいから10日ぐらいぶっ続けで情報共有・把握会議を、行政や賛同団体、県外から来られた方たちで行いました。そして昼間には、被災地でのボランティアに参加してみました。

〇求められる活動を知る

 その中で、私どもがあまり意識をしていなかった災害時の活動というのが、他の団体とか、会議に参加された方の要望で少し見えてきました。一つは後方支援ということで、「仮住まいの相談受付および住居の紹介」です。こちらはなんとなく予測ができていたのですが、もう1つの要望が、「県外の災害支援団体の拠点確保」でした。これは全く考えていなかったことで、実情を知リませんでした。よくテレビで大きなボランティア団体とかが現地に駆けつけていますが、多くが、車中泊をされているそうです。一週間、10日間車中泊をする事はざらにあるそうです。ある団体を通じて、30名ぐらいの団体が入る部屋がないかと、それもほぼお金がかからないようにというご要望を受けました。たまたま、外国人留学生向けのシェアハウスを運営していて、留学生が退去された後だったので、所有者さんに相談して、そこを拠点として提供することができました。
 次に現場支援ですが、災害が起きているところが広範囲で、テレビ等では大きな被害が発生しているところをメインで放送するものですから、支援もそこに集中し、そこから漏れている地区というのはなかなかボランティアも行かないという状況がありました。そこで行政担当者から依頼を受け、昼間に復旧の支援地区から外れているようなところをヒアリングに回りました。少しは建物のことがわかるので、どういう状況であるかとかいうことを、行政とかと一緒にまわって調査をし、次のボランティアに繋げることができました。それに加え、フェーズ変化後のアンケート調査を行うことができました。

〇気づき

 手探りでやっていく中で、不足していたのが、情報収集に必要な業界との連携です。仮住まいの相談で、なかなか「みなし仮設住宅」に指定をされないで困っている方がいらっしゃる中、どれだけの情報量を提供できるかというと、なかなか難しいです。不動産業界の方たちとの連携が取れているわけではないので、私どもの団体と関係があるところの情報を集めることはできるのですが、そういったところの情報だけでは非常に不足しています。今回の豪雨災害で非常に多かったのが、ペットと一緒に避難をしたいという要望でした。ペットを例えば犬が2頭、3頭いるケースで、貸してくれるような部屋はなかなかなくて、部屋がないために危険な状態の家にそのまま住んでいる方いらっしゃいました。 いろんな点で、不動産業界との連携が不足しているということが気づきとしてありました。
 それと、私共は人数が少ない中、通常の活動をしながら、災害支援を行う事は、時間面でも資金面でもかなり難しいなと感じました。
 もう1つは医療系・福祉系の方との連携です。いくつかは連携できたところもあるのですけれども、まだまだ足りでおらず、今後非常に必要だと感じました。

〇ソーシャルビジネスの取り組みの加速

 そこで先ほどのソーシャルビジネスの話に戻りますが、こういった災害時の活動を通じて、ソーシャルビジネスへの取り組みが、より加速したのかなと思います。
 実際、災害時に空き家や賃貸住宅を急に探すのはなかなか難しいです。平常時から情報量が確保出来、又、自団体で、シェアハウスなど、運営している物件が多数あれば、災害時に被災者の方達即時入居させることもできます。平常時からより多く準備をすることが必要だな思いました。
 それと不動産事業がやはり大事だと思いました。自分たちが不動産事業をやっていないと、全部「お願い!お願い!」「何とかしてください!」という、非常に弱い立場でお願いをしなければなりません。又、災害時の様な状況下では、なおさら情報が出てこない。やはり、自ら不動産事業をやることによって、いわゆる業界と連携していくことで、業界の中での賛同者や、情報量が少しずつ増加し、平常時からの物件確保の足掛かりになりつつあります。

〇空家対策ネットワークの進化

 最後に、空家対策ネットワークの進化についてお話したいと思います。いろいろな活動を通じ、様々な団体やネットワークとの連携が広がっております。
 まずは、「居住支援協議会」です。これは行政が主導している、社会的弱者の居住支援を推進するという協議会です。こちらの活動も少しずつ活性化してきております。
 次に、「居住支援ネットワーク」は私どもが独自に作っているネットワークで、例えば外国人の方、高齢者の方、生活困窮者の方、障害をお持ちの方、これらの支援をしている様々な団体とネットワークを形成しております。包括的にあるいは相互に支援ができるようなネットワークで、これが今後の災害時にも必要になってくる思われます
 こちらの取り組みも、思っていたよりもスピード感を持って取り組めております。
 更に「エリアマネジメント協議会」は佐賀市の中心部を活性化させるための協議会です。こちらも、平常時と災害緊急時のことを、協議会の話し合いに取り込めるような協議会に変わってきています。
 最後に「佐賀災害支援プラットフォーム」は、県内外の災害時の支援を行うということで、いろんな団体との取り組みと繋がりながら、様々な会議や研修を行ない今までできなかったことがどんどんできるようになっており、取り組みが加速しています。 ありがとうございました。

(「NPO法人空家・空地活用サポートSAGA」からの活動紹介は以上です)

【開催レポート】「現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸」
(1)団体活動紹介「公益財団法人佐賀未来創造基金
(2)団体活動紹介「NPO法人空家・空地活用サポートSAGA」
(3)団体活動紹介「Yahoo!基金」
(4)パネルディスカッション前編
(5)パネルディスカッション後編
(6)[主催チームまとめ]緊急時における社会的インパクト・マネジメントのポイント

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