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【開催レポート】「現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸」(3)団体活動紹介「Yahoo!基金」

社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(以下、SIMI)では、11月27日に、「~緊急時における社会的インパクト・マネジメント vol2~『現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸』」を開催しました。
(開催案内はこちら

本開催レポートは、当日のディスカッションを書き起こし、整理したものです。

【開催レポート】「現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸」
(1)団体活動紹介「公益財団法人佐賀未来創造基金」
(2)団体活動紹介「NPO法人空家・空地活用サポートSAGA」
(3)団体活動紹介「Yahoo!基金」
(4)パネルディスカッション前編
(5)パネルディスカッション後編
(6)[主催チームまとめ]緊急時における社会的インパクト・マネジメントのポイント


西田 修一氏

ヤフー株式会社 執行役員
コーポレートグループSR推進統括本部長
Yahoo!基金 専務理事

西田)ヤフー株式会社の西田と申します。ヤフーではCSRや社会貢献などを担当しておりまして、併せて「Yahoo!基金」という任意団体の専務理事も務めております。今日は「Yahoo!基金」という立場からお話をさせていただきます。
Yahoo! JAPANの災害支援という取り組み全般と、その中で「Yahoo!基金」の取り組みについて、少し掘り下げてお話をしたいなと思います。よろしくお願いいたします。

●コロナ前 

〇組織概要

冒頭にお伝えしておきたいのが私たちのミッションです。私達ヤフーは「UPDATE JAPAN」を掲げております。これはインターネットやITを使って、日本をより便利に、そして安心な国にしていこうということを目指すものです。
日本は世界でも有数の災害大国ですので、災害に対してどう取り組むか、防災・減災、そして被災地対応・被災地支援といったことも私達の重要なミッションと捉えております。
 実際、Yahoo! JAPANでは、災害というものを中心にいくつかのフェーズに分けて取り組んでおります。それは「防災」「減災」という災害が起きる前の取り組み、あるいは起きたときにどれぐらい速やかに対応できるかという取り組み、そして被災地に対する「復旧」、長い目線で見たときの「復興」、そして防災意識を高めていくとか、あるいは記憶をしっかりつないでいくといった「啓発」という活動に取り組んでおります。
 今日は特に緊急時に対するお話ということですので、この中でも復旧のところにフォーカスをしてお話を進めていきます。

〇復旧の取り組み

復旧の取り組みというのは大きく分けるとヒト・モノ・カネの三つの視点からなると思っております。例えばヒトについては「Yahoo!ボランティア」というサービスを展開しております。そしてモノについては「SEMA(シーマ)」という取り組みをしており、そしてお金のところでは、「Yahoo!ネット募金」という寄付プラットフォームを運営しております。

〇ヒト(「Yahoo!ボランティア」)

「Yahoo!ボランティア」は、ボランティアを募っている団体と、ボランティアをしたいという人をマッチングするためのプラットフォームです。これによって人を被災地、あるいは何か具体的な取り組みに繋げて、人という観点で支援をしていくサービスです。

〇モノ(「SEMA」)

「SEMA」には、「ソーシャル・エマージェンシー・マネジメント・アライアンス」の頭文字をとって「SEMA」としておりまして、日本語をあてるときには「緊急災害対応アライアンス」と呼んでおります。
 災害が起きますと、様々な企業が何かしたいということで、物資等をプッシュ型で被災地に送るということがあります。しかし、どんな物資が必要とされているのかわからないまま、ある意味では押し付けになってしまうようなこともありまして、実際本当に必要なところに届かない、あるいはどこかに集められて、例えば食料品とかは気づくと賞味期限が切れてしまうこと、その処分を結局被災地の方々がするということが起きています。そこでこの「SEMA(シーマ)」を立ち上げました。NPOを含めたCSO、加盟企業と事務局である私たちYahoo! JAPANがしっかりと連携をしながら、そういった無駄をなくそうということで取り組んでおります。
 具体的には、あるところで災害が発生しましたら、一両日中に加盟しているCSOが現地に入ります。現地に入ってその被災状況を専門的な目でしっかりと見た上で、どんな状況なのか、そしてどんなものをどれぐらい、どこに届ければ良いのかという情報を私たち(事務局)に共有していただきます。
 その情報をもとに私たちは加盟団体に「何々を提供していただけませんか」と、衣料品や衛生用品、飲料など加盟企業から募って、企業から直接被災地に届けていただきます。この仕組みによって、無駄なく、必要なものが、必要なときに、必要な場所に、必要な量が届くしくみになっています。

〇カネ(「Yahoo!ネット募金」)

 「Yahoo!ネット募金」というサービスも15年ぐらい運営しております。これは寄付のプラットフォームで、お金を必要としている団体と、そこに寄付をしたいという人たちを繋げて、お金がしっかりと、ここで集まる仕組みを提供しております。  特徴としては、クレジットカードで寄付ができることです。つまり、オンラインで簡単に寄付が可能です。そしてTポイントでも寄付が可能です。最近ではポイント経済圏というのが非常に広くなっている中でいうと、若者も含めて、Tポイントで気軽に寄付ができるという、こういう仕組みを提供しております。

〇「Yahoo!基金」

 そして今日のお話の中心となるのが「Yahoo!基金」の取り組みです。よく「Yahoo!ネット募金」と「Yahoo!基金」は名前が似ているので混乱させてしまうのですけれど、「Yahoo!ネット募金」は寄付のプラットフォームであるのに対して、「Yahoo!基金」は、一般ユーザー様とヤフーからのマッチング寄付により被災地や市民団体の支援をするために設立した任意団体となっております。  「Yahoo!基金」は、2006年にYahoo! JAPAN10周年事業として立ち上げられました。理事長は歴代の代表取締役社長が務めておりまして、今は三代目の代表取締役社長の川邊が理事長を務めております。「Yahoo!基金」の支援テーマは大きく分けて二つ持っておりまして、一つ目が「災害被災者および災害被災地への支援」、二つ目が「インターネットやIT技術の利活用を通じた市民活動の支援」です。今日は特にこの一つ目の「災害被災者および災害被災地への支援」がお話の中心になってくると思います。

〇「Yahoo!基金」の募金活動

 私たち「Yahoo!基金」のお金の集め方は大きく三つあります。一つ目が、一般寄付です。これは私たちの最も特徴的なポイントかと思っておりますが、自社の「Yahoo!ネット募金」という寄付プラットフォームで「Yahoo!基金」が寄付を募ります。一般の方々にクレジットカードやTポイントなどを利用して寄付をしていただきます。これが一つ大きな財源となっております。
 併せてヤフーからも寄付が出ます。マッチング寄付といって、一般寄付で2,000万円集まったらヤフーも同額2,000万円を出し、合計4,000万円が寄付される仕組みです。あわせてヤフーから運営資金も出ております。発災時の義援金は集まってから出すのだと遅れてしまうので、割とすぐに出せるように、こういったヤフーの運営資金から出したり、あと運営等で使われる支出も、このヤフーからの運営資金で賄われております。

〇支援に関する活動

災害支援に関する活動には大きく三つあります。緊急支援、復興支援、防災減災という取り組みです。
 災害が起きたときには緊急支援と復興支援です。緊急支援は割と短期的なもので、1週間から3ヶ月、復興支援は長期的で、数ヶ月から数年という単位で実施します。防災減災はどちらかというと平時の取り組みになります。
 それぞれ寄付と助成事業の取り組みがありまして、緊急支援の場合には、被災者に対する義援金や被災地で活動する団体への支援金としての寄付があります。助成では「熊本地震NPO支援助成」という例があり、このようなプログラムで寄付あるいは助成を実施しております。

〇平成30年7月豪雨災害での支援活動

平成30年7月豪雨災害での支援活動の実績をご紹介します。大きく分けて、短期的なスパンで実施をした緊急支援と、割と長期のスパンで行う復興支援という二つで分けております。緊急支援ではボランティアセンターの運営など被災地で活動する団体への支援や先ほどご説明した「SEMA」が物資を運搬する際の資金、の寄付を行いました。
 復興支援では、少し落ち着いてきたタイミングで、現地の中間支援団体が復興支援活動を行うための寄付を行いました。他には被災状況調査があります。被災状況をしっかり調査することで、後に似たようなことが発生したときに、その調査内容が生きてくるという意味ですごく大事な取り組みかと思っておりまして、寄付を行いました。

●コロナ後

〇新型コロナウィルス感染症に関する支援活動

 直近ではやはり新型コロナウイルスに対する取り組みがあります。私たちもコロナに対しては悩み、試行錯誤しながら取り組んでおりますが、まず立ち上げたのが「新型コロナウイルス医療崩壊を防ぐための支援」というものです。2020年4月から実施しており、現在も寄付を募っています。主に医療に焦点を当てた取り組みで、今(2020年11月27日時点)現在8,700万円ぐらい集まっています。
 もう一つが「命を守る人を支えたいコロナ医療支援募金」で、これは5月から6月の末にかけての約1ヶ月とちょっとの間、動画クリエイターのHIKAKINさんと一緒に取り組みました。HIKAKINさんご自身も1億円を寄付してくださいました。そして、寄付者の数が、21万6,000人。総額は3億7,000万円になりました。さらに今回は、普段の私たちの寄付層よりも若い層がこぞって寄付をしてくださっているという意味で、やはり「誰が寄付を募るのか」ということ、あとは動画クリエイター による若年層に対するリーチの強さ、広さを実感しました。
 寄付金の使い方として、今現在は医療関係が中心になっております。現在、11の自治体に約1,000万円ずつ寄付、合計1億1,000万円を寄付しています。また、コロナの患者受け入れをしている病院を中心に、約1億2,500万円を寄付しております。
 医療従事者への支援活動や感染防止活動ということで、医療機関に限らずNPO等でも、感染防止や医療従事者の支援をしている団体に向けた助成もしております。

〇今後

新型コロナウイルスにどうやって向き合っていくのか、今までは医療を中心としてきましたが、それ以外のところにどのようにこの活動を広げていくのかということが、今後考えていくべきところかと思っております。
 以上簡単ですけれども、ヤフー全体の災害に対する取り組みと、「Yahoo!基金」の具体的な取り組みについて、お話をさせていただきました。ありがとうございました。

(「Yahoo!基金」からの活動紹介は以上です)

【開催レポート】「現場団体と財団・基金のコミュニケーションと判断軸」
(1)団体活動紹介「公益財団法人佐賀未来創造基金」
(2)団体活動紹介「NPO法人空家・空地活用サポートSAGA」
(3)団体活動紹介「Yahoo!基金」
(4)パネルディスカッション前編
(5)パネルディスカッション後編
(6)[主催チームまとめ]緊急時における社会的インパクト・マネジメントのポイント

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