Social Impact Day 2020

2021年03月31日

セッション9:『企業における社会的インパクト・マネジメント活用の可能性』

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スピーカー:
・東郷 琴子氏(パナソニック株式会社ブランド戦略本部CSR・社会文化部 主幹)
・松山 亜紀氏(株式会社セールスフォース・ドットコム Salesforce.org(社会貢献部門)ディレクター)

モデレーター:
・鴨崎 貴泰(一般財団法人社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ専務理事、日本ファンドレイジング協会 常務理事)
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【セッション・サマリー(開催報告)】 本セッションでは、企業CSRが取り組む社会的インパクト・マネジメント(SIM)の実践事例を紹介しながら、実践に至る経緯や実務上の課題、今後の展望について議論しました。スピーカーのお一人、株式会社パナソニックでCSRを担当している東郷さんからは、同社が20年間実施しているNPO等の組織基盤強化へ助成する「NPOサポートファンド」の事例を紹介いただきました。そのなかで、同社が事業評価を導入した経緯について、組織基盤強化への助成という前例のないチャレンジだからこそ、「自分たちの支援が本当に効果があるのか?」を検証する必要性を感じたため、との説明がありました。また、事業評価の自体も20年間で試行錯誤しながら段階的に進化させてきた点が大変興味深く、評価結果を助成プログラムの改善に活用し続けてきた点でも企業におけるSIM実践事例として大変参考になると思います。

また、もう一人のスピーカーの株式会社セールスフォース・ドットコムの社会貢献部門を担当している松山さんからは、同社の社会貢献プログラム(1-1-1モデル)の製品の1%を使ったNPO等の支援プログラムにおけるSIMの実践事例について紹介いただきました。同社の製品を通じたSIMの事例ということで、CSRの枠組みを超えた本業におけるSIMの取り組みともいえる点が興味深い事例でした。また、今回のSID全体を通じたテーマの1つである「ステークホルダー資本主義」にも通じる点として、同社のTOC(セオリーオブチェンジ)には、事業の受益者として支援先のNPO等の他に「自社の社員」「自社」「パートナー」を設定し、それぞれの社会的インパクトを可視化している点も興味深い点でした。

後半のパネルディスカッションでは、企業がSIMに取り組む際のポイントとして、どのような社内体制が必要か、評価者などの外部専門家の関与の必要性や意義など、これから企業内でSIMを始めようとする方にとって非常に有益な議論がなされました。

日本では企業のSIMの取り組みはCSR分野で先行している状況がみられます。その先進事例に学びながら、企業の全体のマネジメントにSIMを取り入れ、社会的インパクト志向の企業が増えていくことが期待されます。

サマリー執筆:鴨崎 貴泰

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