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【開催レポート】「3団体に聞く!! 現場の試行錯誤と意思決定」(4)パネルディスカッション前編

社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(以下、SIMI)では、7月1日に、「~緊急時における社会的インパクト・マネジメント~『3団体に聞く!! 現場の試行錯誤と意思決定』」を開催しました。
(開催案内はこちら

本開催レポートは、当日のディスカッションを書き起こし、整理したものです。
全6回に分けてお届けします。

【開催レポート】「3団体に聞く!! 現場の試行錯誤と意思決定」
(1)団体活動紹介「東の食の会」
(2)団体活動紹介「こおりやま子ども若者ネット」
(3)団体活動紹介「サステイナブル・サポート」
(4)パネルディスカッション前編
(5)パネルディスカッション後編
(6)[主催チームまとめ]緊急時における社会的インパクト・マネジメントのポイント


パネルディスカッション前編

高木)ここからパネルディスカッションに入ります。モデレーターは、株式会社マザーハウス 代表取締役副社長の山崎様にお願いします。

山崎)皆さん、こんばんは。今お三方の発表を聞いてもらいまして、ここからはパネルディスカッションをしながら進めて行きたいと思います。

【モデレーター】
山崎大祐氏
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長

山崎)まず自己紹介ですが、マザーハウスという会社やっております、山崎大祐と申します。私たちは「途上国から世界に通じるブランドを作る」という理念があり、“途上国=かわいそう、貧しい”というイメージを、ものづくりを通して変えていこう、ということをやっている会社です。今作っているものは、バッグ・ジュエリー・アパレルを作っている会社で、11カ国に700人くらいのスタッフがおります。世界的にみると一番ひどい時は50人ほどしか出社できない、あとは全部ロックダウン、という状況がありました。コロナの影響は、全世界で全員に降りかかってきた話だと実感しています。本当にすべての人たちが自由を束縛されて影響を受けている。ロックダウンや緊急事態宣言下で、家の中にいた方もいれば、何か続けていく責務のある方がおり、それに対してリスクがあり、意思決定がある。今日は、事業のために実際にどのような意思決定をしてきたのか、という話をしていきたいと思っています。

山崎)ではさっそく、東の食の会の高橋さん、本当にいろんなことをやられており、ヒット商品もたくさん生み出していて凄いなと思いました。今回、今まで飲食業側の人が東北の一次産品を作っている人たちを支援してきたという構図を、一気に逆転させて、飲食業の人をサポートしていこう、と切り替えたのがすごくクリエイティブだなと思いました。「みらいチケット」「ホヤ祭り」「うち旅クッキング」などの企画も、この短期間で、これだけの新しいアイディアを、どういうプロセスで生み出したのか聞いてみたいです。

高橋)ありがとうございます。そうですね、NPOなので課題を解決してナンボだと思っていますが、コロナが広まった際は何をして良いのか分からなかったというのは正直なところあります。そこで止まってはダメだ、「まさにここに存在意義がかかっている」と考えました。我々の本来のミッションとは違うかも知れないけれど、最もダメージを受けている飲食業も食産業であり、食産業はバリューチェーン全体が必要で、広い意味でこれは我々のミッションの一部であるということは分かっている。何が正しいか、何が成功するか分からない。今までの手法はまったく通じない中で、それでもやるしかない、と。誰が考えたかで言うと、団体のメンバーで色々考えて、仲間の団体と協働したことが多く、出てきたアイディアをどんどんぶつけて、矢継ぎ早に色々やってきました、という感じです。

山崎)なるほど、色んな人のアイディアを聞きながらやったのですね。ある意味色んな人のアイディアを聞きすぎると、実現が難しくなっちゃうこともあると思うんですよね。先の見えない中では、常識から外れたような考えをしないと難しい。こういう危機的な状況ではみんなの意見を聞きすぎると逆に難しいのではと思ったのですが、高橋さんの東の食の会では、みんなでディスカッションする時間をもったのですね。

高橋)そうですね、「何かをやる」ということは決めていました。うちの団体の経営は固定費が非常に軽いので問題なかったので、動ける人は動こうと決めて、あとはそれぞれメンバーが考え、他の団体、例えば「ホヤ祭り」はホヤホヤ学会さんという仲の良い団体さんと組んで、それぞれが裁量を持ってバンバンやった、という形です。

山崎)ありがとうございます。
関連して、こおりやま若者ネットの鈴木さんに聞きたいのですが、鈴木さんのところもネットワーク組織ですが、3月6日にもう「こわか広場」を開所されていて、意思決定が早いなと思いました。ステークホルダーが十何団体もおり、こういう時は価値観がぶつかることもありますよね。危ないから子どもを預けられないという所や、子どもは絶対困っているから居場所をやるべきだとか、喧々諤々な大議論になると思うのですが、そういう意思決定は最後は誰が責任をとったのか、価値観の全く違う人たちをどうまとめていったのか、教えてもらってもいいですか?

鈴木)はい、実は結論から言うと、意見はほとんど割れなかったんです。振り返ってみると、僕らの経験の中に東日本大震災があったのかなと思っています。あの時、「今居場所を開いてどういうつもりだ」などの避難がたくさん来ました。あの時に活動をしていた人たちは、少なからずそういう経験をしています。僕らが普段から話している中で、「自分たちは誰の側に立つんだ」という時に、排除される側の方々、支援を求めている側に立つということが、文化というか根底の価値観としてあるんですよね。こういう時は考え方が二極だけじゃなく、三極や四極になると思うのですが、「自分たちが届けたい人たちは今何を望んでいるのか」ということで議論して、そんなにかからずに30分ぐらいで「じゃあ居場所をやろう」ということになりました。

山崎)これは凄く大事なポイントだなと思っていて、“誰のためにやるか”ということが明確に共有できている。これは日頃から、平常時に、それをみんなが共有できる、そのプロセスがあったから、ということですよね。

鈴木)はい、おっしゃる通りで、ネットワークでは毎月1回カンファレンスを行っていて、出席率が高くて毎回20人ほど参加して、活動時の価値観や、地域に今何が足りていないか、足りていないものにどうアプローチするかなどに多くの時間を割いて議論しています。なので今回のような事態になっても、共通言語があり、価値観が共有できているので、揉めないと言うか、スムーズに意思決定できたのだと思います。もちろん配慮すべきことに関して懸念する声が上がり、それはむしろ有難くて、「そこは配慮しましょう、こういう安全基準を立てましょう」という形で話を進めることができました。

高橋)ちょっといいですか、もちろん平常時にミッションが共有できていたということもあると思うのですが、鈴木さんのおっしゃっていたように“危機の経験をしている”ということも大きいと思います。東日本大震災の時に、今までのものが完全にひっくり返される経験をした方が多くて、東北は危機に立った時のマインドセットが違ったのではないか。こういう事態になってからアクションを起こすまでのスピードが早かった。例えば、仙台では飲食店とタクシー業界が組んで「たくデリ」を始めるなど、規制ギリギリなのですが、でもやってみるというマインドセットを、あの時に培ったことが大きいかなと思います。

山崎)同感です。鈴木さんと高橋さんのところは東日本大震災の経験を強く挙げていますね。あの頃マザーハウスも東京の電気が制限され、売り上げが8割減になりました。その時に現場で走っていたスタッフが、今チーフマネージャーになっていて奔走してくれています。危機対応は1回でも経験しているかどうかは大きいなと、まさにおっしゃる通りと思います。

後藤さんのところもアクションが早く、また予備的に動いていますよね。先ほど、「こんな時にも事業やるの?」とおっしゃっていましたが、後藤さんが疑問に思ったぐらいなので、スタッフの人たちも同じように困惑した人がいたと思うのですが、そこのコミュニケーションはどうされましたか?

後藤)高橋さん、鈴木さんの話を聞いて「なるほど」と思いました。岐阜の人たちは震災を経験していないからか、危機に対する反応が違ったと思います。私たちは2月から準備を始めたのですが、その頃にハローワークや関係機関で「うちはこういう対応をとっていますので外出ができません」というお伝えをすると「えっなんで?」という反応が多かったです。スタッフの中でも「やりすぎなのではないか」と感じる方もいて、温度差がありました。岐阜県では精神科の病院の先生が何名かコロナに感染して、うちの利用者さんの中にその病院に通っていた方がいたことで、徐々に意識が変わっていきました。全体的な動きとしては、岐阜より全国の動きを見ていたのと、厚労省の通達をずっと追っていて、モヤモヤしつつも厚労省の柔軟な制度運用への姿勢が伝わってきて、通達をどのように解釈して事業を運用したら良いのかを考えることができ、岐阜の中でかなり早い段階で動いたかなと思います。

山崎)これは相当早いなと思います。おっしゃっていることも良く分かって、僕達も3月初旬には資金調達をしていて、それを周りの経営者に言っても「何言ってるの?」という感じでした。非常時にスピードのある判断は重要かなと思っています。

合わせて、鈴木さんに聞きたいのですが、印象的だったのが、ルールや基準を明確にされている、例えば閉所ルールを作られているのが凄いなと思いました。この環境下で、緊急対応の時はスタッフも含めて一枚岩にならなければいけない時に、マネジメントが発する基準があやふやだとみんなが混乱しますよね。特に「こういう時には居場所を閉めます、みんなの安全を優先します」などの明確な判断基準はすごく重要だと思いますが、これを早くに出されたのは鈴木さんの判断ですか?

鈴木)これも話し合って決めています。子ども分野の事業は、先ほど「スタッフが加害者になることもある」という話も紹介しましたが、子どもを預かった時に暴力加害が発生したケースなど、業界としての経験と反省があります。居場所や野外活動に様々な安全管理基準を設けており、ネットワーク内にこれらの基準の研修を手掛けているスペシャリストの方がおりまして、アドバイスをもらいながら定めました。一方で、基準があっても現場で様々なことが起こるので、現場責任者に現場の裁量を握っていただいて、判断できなかったら代表の私にあげてください、というルートを作ることで、現場の運営を円滑にしようとしました。

山崎)なるほど、ありがとうございます。お二人はどうですか?意思決定の軸や判断基準を持ってやっていたのでしょうか?

後藤)私たちは組織体として小さいので、これをやろうと決めたら、その日のうちにバーっと作って翌日に理事にあげて進めていける状態ではありました。鈴木さんがおっしゃっていたような閉所の基準などは、私たちも3月初旬頃には作っていました。ただその頃は「3人出たら閉所」と言っていたんですが、だんだん「1人でも閉所すべき」となり、1度決めたことでも状況を見ながらどんどん基準自体を変えていっていました。

高橋)今回は、飲食業としてあまりにも巨大な課題で、我々一団体でこの課題を根本的に解決するというのは難しく、どうしようもない、という中で仲間と話していたのは、「少なくとも自分たちが関わった人、生産者だけでなく一緒にやってきた飲食店の方々も含め、自分たちに顔が見えている人からは、倒産を出さない、救おうぜ」ということは話していました。そこをやらずに、大きなマクロだけをやって、目の前の自分たちが一緒に走ってきた仲間たちが、万が一でも倒産なり事業継続が難しいという状況になってしまうのは、単純に嫌だよね、と。まずはそこをしっかりやろう、と。もしかしたら活動の規模感として小さくなった部分もありますが、そこはみんなで話して決めていました。

東の食の会のFacebookより

山崎)お三方共通で考えられていたのは、シンプルだけれども、Howが見えない中で、“その人たちに対して何ができるか”だったのですね。後藤さんはオンライン支援を立ち上げられ、鈴木さんは子どもが一番重要だと、高橋さんも一番困ってる飲食店から倒産を出さないという、シンプルだけれど、自分たちが一番大切にしている人たちにチームの目線を向ける、ということを、やられてきたのかなと思います。

会場から質問が来ているので、皆さんに質問していきたいと思います。「組織が直面した一番の困難とは何ですか?」合わせて「マネジメントとして一番苦労したこと」を教えてほしいです。

後藤)組織を運営されている方が一番苦労しているのは、何においても「人」だと思っています。私もスタッフの意識をどう統一していくのかについて、一番苦労したなと思います。利用者さんに不安を与えないためにも、組織が次のステップに進むためにも、スタッフの意識を統一していく、同じベクトルを向いていく、というところに、時間と頭を使って考えてきました。福祉分野は色んなバックグラウンドを持っているスタッフがいるので、少し保守的な考え方やオンラインへの抵抗感のあるスタッフもいたのですが、そこを一歩乗り越えることによって、支援を継続でき、運営も継続できる。そこをどうスタッフと乗り越えていくか、この局面を乗り越えるには意思統一の部分が一番重要だったと思います。

高橋)幸いチームメンバーの士気は高くて、小さい組織なのであまり苦労はなかったです。一方で、アクションは色々やったのですが、課題の大きさに対して自分たちがやれているインパクトの小ささに、なんというか焦燥感があって、店が開かないという状況を変えられない中で、やってもやってもどうしようもないという、やってるんだけれども根本的な課題解決にはほど遠くて、くじけそう。それでもアクションし続ける、というのが結構つらかったです。自分としてはもっとやりたい、と思うけれど、チームも頑張っていて、アクションは結構やったけど、インパクトの乖離に悩んでいたというのは正直なところです。

山崎)高橋さん、分かります。僕もこの8年間ぐらいボトムアップで会社を育ててきて、順調に成長させることができていた。だけどこの数ヶ月は急激にトップダウンにした結果、最初の2-3ヶ月は良かったのですが、結構ハレーションがあって、最近は反省して「ごめんなさい、もう一回みんなでやっていこうよ」という話をしたりしています。マネジメントとしてのフラストレーションはありますね。

高橋)はい、それをチームにぶつけない、というところにはすごく悩んだというのがあります。

鈴木)悩みで言うと、僕らは、実はお金に困ったんですよね。スタッフもいなければ事務所もないネットワーク組織なので、出ていた助成金にも該当しない。各団体から日替わりで人を出してくれて、居場所に16人のスタッフが関わったのですが、年度末の忙しい時期に本来の仕事を休んで来てくれるわけなので、負担感は大きく、悩ましかったです。また、事後に振り返りをした際に、「排除リスクがより高い人には、情報が届いていなかった」という意見がありました。活動として一定はできたのだけれども、急にパっと居場所を開いただけでは、排除リスクが高い方々に情報を届けられなかったという現実はあって、次回はもっと考えたいと思っています。

後藤)私たちもオンラインに切り替えた際に、利用者さん全員が乗れたわけではなく、「対面の支援の方が良い」という方もいました。利用者さんにアンケートをとった際には、この状況下ですし、「オンライン支援の方が良い」とする方がほとんどだったのですが、ごく一部には対面支援を希望される方がおり、その方達に支援を継続して届けることはできませんでした。今は通所していただいています。今後どうして行ったら良いのか、検討している段階です。

サステイナブル・サポートのFacebook・資料より

山崎)お三方はここで発表しているだけあって、強烈に本当に「誰のためにやっているのか」を非常に意識されていて、これだけ色々やってるにも関わらず「全然届いてないのでは。もっとできたのでは」と強く思っている。だから団体としてのアクションが増えるし、自分たち苦しいと言っている場合じゃないと思っていられる。今の発言を聞いていて思いました。

少しリアルな話として一つ、今出てきたお金のことについて、皆さんも不安だと思いますし、団体としての継続性も踏まえていかがでしょうか。東日本大震災と違うのは、日本全体や世界が被害を受けている中で、社会的関心も減っている。こういう時はマイノリティの方が一番苦しむわけですが、社会の興味関心がそういった方へいかなくなっている現状に対して、外向けの発信や、支援者の方とのコミュニケーション、そしてお金をどう守っていくかについて、どう動かれているのかを教えていただけると嬉しいです。

鈴木)僕らはネットワーク組織なので、継続のためのコストはそれほどかからない。ただこういった緊急事態になった時にはガッと必要になることが分かったので、災害時用に協定を結べないかという提案をしています。緊急事態宣言が出る、震災や自然災害のようないつ起きるか予想できない事態に対して、協定という準備をしておくことで、ネットワークが受け皿になってすぐにお金が出せる状況にしておくことは重要かなと思っています。

山崎)なるほど、そういう準備が緊急時に活きる、ということですね。後藤さんはどうですか?銀行借り入れをしたとおっしゃられていましたが。

後藤)そうですね、就労支援というのは事業運営のために必要な費用が固定費だけで毎月500万円弱がかかるという現実があります。2月の頃に最悪の状況を想定して、資金が足りないわけではなかったのですが、とりあえず借りるという対策を取りました。最悪の状況になっても事業が運営できれば、現状維持かトライアンドエラーを進める余力がある。資金があることで、職員の雇用や事業の継続などの安心感につながると思います。その決断は、苦しいというよりは、腹を括った、というようなところがあります。

山崎)すごいよく分かって、マザーハウスも2月末ごろに、あと一年半ぐらいロックダウン状況が続いても大丈夫というぐらいの金額のお金を借りました。CFOと一緒に、今までの中で最大の金額を借りた。ただ、トップが金策に走るという状況はあまり良くなくて、トップが不安に駆られていることが組織全体に影響するな、とは感じましたね。とは言え、日本は銀行からの借入れに対するアレルギーがありますが、こういう状況では組織を守るためにぜひやってほしいです。

高橋)うちは組織の運営として固定費が少なく変動費比率が多いのと、事業収益も持続的な構造が作れていたので、組織自体は大丈夫でした。それ以上に、一緒にやってきた仲間たちが、こういう時は本当にキャッシュが命なので、みらいチケットの販売資金を先に渡すなどは意識しました。幸い借り入ができていた飲食の方は多かったのですが、依頼があれば先にどんどん出すなどしてキャッシュフローは意識しました。

山崎)資金に関連して、コロナの第二波が来るかもしれない、一瞬先は闇でどうなるか分からない中で、組織運営では何に気を付けたり、取り組まれていますか?

高橋)率直に思っている事を言うと、今日、福島へ初出張に行ってきたのですが、地方の方はまだ東京から人が来ることに対して強く警戒していて、それは当然なのですが、いつまで閉じ続けるのか?ということは懸念しています。概念的に「地方いいよね、開疎化だよね」と言われても、地方の人は「今はまだ来ないでくれ」という状態で、企業もそう言われると行きにくい。もしその状況が続いて、互いに忖度し続けたら、地方にとっては致命的だと思っています。本当に止まってしまう、回復できなくなってしまうのではないか。なので、我々みたいなライトなNPOはある意味リスクを恐れずに、どんどんやっていくべきかなと。今日も県庁へ寄って「批判されても恐れずやって行くのでどんどん使ってください」と伝えてきたのですが、こういう時にこそ先陣切って色んなアクションをして、批判を恐れず、やっていくべきポジションなのかなと思っています。

山崎)本当に小売業もまったく同じで、小売りが社会を元気にしなければいけない部分はあるんだけれども、プロモーションも自粛の流れになっているし、アクセルとブレーキを両方踏むという状況になってきていますね。こういう時にリスクをとってアクションしていく。マザーハウスもそういう役割を持っていると思っています。

後藤)私は地方ど真ん中にいるんですけれども、施設で作ったマスクをBuy Local運動という形で岐阜市役所にて販売しているのですが、地域の中で経済を回していくことが見直されつつあると感じています。就労支援も同じ流れで、地域との関係性を再構築してみるフェーズかな、と思っています。また就職が非常に難しい状況のため、利用者さんにアンケートを取って要望を聞き、不安なことを把握して早めに対応するようにしています。一方で、就労支援・就労移行支援というのは就職によって報酬体系が変わるという仕組みなので、この就職が厳しい状況下で来年度も同じ報酬体系で行くのか、この状況をどう行政に伝えて調整をしていくのか、そのことも視野に入れて動き始めています。

鈴木)僕らが今一番力を入れようと思っているのは、ネットワーク側では、平常時の議論があったからこそ今回スムーズに動けたなと思っているので、こういった議論をこのコロナ禍でも続けていくために力を入れています。また、こういう状況になった時に団体が子ども・若者の代弁をするのではなくて、子ども・若者が直接声を上げる、彼らの声が社会化される必要があると思っています。東日本大震災の時もですが、団体が子ども・若者の声を代弁すると歪むんです。なので子ども・若者が今の世の中に対してどう思っているのか、どんな混乱があるのかを話せる、直接発信できる場を計画しています。あともう一つ、我々がフォローしている若者は、非正規雇用の人が多くいます。高橋さんから飲食店のお話しがありましたが、そこでアルバイトしている若者たちが今後困窮になっていくことは予想されるので、ネットワークとして何ができるか、どう対応するか、どういう事業を展開するか、思案しているところです。

(「パネルディスカッション後編」へつづく)


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